日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
クレッチマー(August Ferdinand Hermann Kretzschmar)
くれっちまー
August Ferdinand Hermann Kretzschmar
(1848―1924)
ドイツの音楽学者。オルベンハウ(ザクセン)の生まれ。ライプツィヒ大学に学ぶ。以後ロストック、ライプツィヒなどで音楽学を講じるかたわら、指揮者としても活動ののち、ベルリン大学教授などを務める。「音楽解釈学」の創始者としてもっとも著名である。これは音楽の形式面に具象化されている精神内容を言語の形で定着させようとするもので、18世紀の「情緒論」Affektelehreに戻ってこれを精密化することにより、音楽解釈の客観的方法論の確立を目ざした。その実践例たる『楽堂案内』Führer durch den Konzertsaal(1888~90)は今日の楽曲解説の先駆となっている。
[渡辺 裕]