クレディ・モビリエ事件(読み)クレディ・モビリエじけん(その他表記)Crédit Mobilier

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クレディ・モビリエ事件」の意味・わかりやすい解説

クレディ・モビリエ事件
クレディ・モビリエじけん
Crédit Mobilier

アメリカ南北戦争後の U.グラント大統領時代の腐敗政治と 19世紀アメリカの鉄道建設をめぐる不正を象徴する代表的汚職事件。 1872年にニューヨークサン』紙によって暴露された。クレディ・モビリエはユニオン・パシフィック鉄道の建設会社として,連邦政府によるローンと土地下付の特権を悪用して巨額の金 (2300万ドルといわれる) を着服した。連邦下院議員 O.エイムズが同社の不正調査をもみ消そうと幾人かの議員に同社の株をばらまいたため,連邦下院はこの汚職事件を調査してエイムズ一派を譴責したが,副大統領 S.コールファクスを含む関係者は赦免された。

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世界大百科事典(旧版)内のクレディ・モビリエ事件の言及

【グラント】より

…英雄となった彼は,68年大統領選挙で急進派が支配する共和党によって大統領候補に推され,当選した。大統領としては,米英間の漁業紛争および南北戦争中の補償問題をほぼ解決したワシントン条約の締結など,外交面で実績をあげ,内政でも行政改革に着手するなど見るべきものがあったが,南北戦争後の経済発展期にあって,クレディ・モビリエ事件のように,政府と私企業間の不正・腐敗が続出し,無能政治家の名前を歴史に残した。大統領任期終了後の79年,世界旅行の途中,日本を訪れた。…

※「クレディ・モビリエ事件」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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