日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ケアリー(John Cary)
けありー
John Cary
(?―1720ころ)
イギリスの商人、経済学者。ブリストルで西インドとの砂糖貿易に携わったが、のちには重商主義を主張する経済時論家として有名になる。イギリスの国民的利益の保護の立場から、一方で、イギリス国内産業たる毛織物の消費を妨害し国民の就業の機会を奪うものとして東インド貿易によるキャラコの輸入に反対し、他方で、原料の供給地および製品の市場として植民地の確保を主張した。貧民のための授産場の建設を推進するなど、高賃金論者としても知られる。主著は『イギリス貿易論』An Essay on the State of England in Relation to its Trade, its Poor and its Taxes(1695)。
[千賀重義]