日本大百科全書(ニッポニカ) 「シイラ漬漁業」の意味・わかりやすい解説
シイラ漬漁業
しいらづけぎょぎょう
沿岸漁業の一つ。漬(づけ)は、普通モウソウチクを適当な長さに切ったものを数十本束ね、これに旗、木や竹などの枝を立て目印にし、これに水深の1.5~3倍のロープをつけて海底に固定させ、シイラを集める装置。漬は1500~3000メートル間隔に30~60個設置する。これに集まったシイラは、餌(えさ)をロープにつけて引くか、撒餌(まきえ)によって漬から引き離し、有袋巻網により巻いて漁獲する。巻網の目合いは袖(そで)網7.5センチメートル、魚捕部5、6センチメートル、縮結は袖網20%、魚捕部に向かい50%まで増やし、浮子(あば)方の長さ120メートル、魚捕部の深さ20メートルに仕立て上げるが、地域により若干異なる。鹿児島県から新潟県に至る対馬(つしま)暖流域がこの漁法の主漁場である。
[笹川康雄・三浦汀介]