タージー(読み)たーじー(その他表記)Tāzī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タージー」の意味・わかりやすい解説

タージー
たーじー / 大食
Tāzī

唐・宋(そう)時代に中国人が、西アジアの大勢力として、また東西貿易に活躍する商人として知られたアラブ人広義にはイスラム教徒)をさした呼称イラン人が、隣接する北アラビアのアラブ系部族タイイaiyの名を全アラブ人に冠して、ターチークTāčīkあるいはタージークTāzīkとよんだことに由来する。やがてアラブ人の征服活動に伴い、イスラムに改宗したイラン人もタージーク、タージーといわれるようになった。なお、中央アジアではのちにもっぱらイラン系住民を「タジク」と称した。

堀川 徹]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「タージー」の意味・わかりやすい解説

タージー(大食)
タージー
Tāzī

唐・宋時代の中国人がアラビア人あるいはイスラム教徒を呼んだ名称。イラン人がアラビア人をタージー,タージーク Tāzīkと呼んだのを音写したもので,大寔大石,大氏などとも書かれた。イランがアラビア人に征服されたのち,トルコ人はイラン人をタージー,タージークと呼んだ。

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世界大百科事典(旧版)内のタージーの言及

【大食】より

…唐・宋時代の中国人が,狭義にはアラブ,広義にはイスラム教徒を呼んだ名称で,大寔(だいしよく),多氏(たし),大石(たいせき)などとも記される。本来はペルシア語でアラビア人を示すタージークTāzīk∥Tājīk,タージーTāzīの音訳であったが,アラブの征服以降のペルシア人イスラム教徒もこの名で呼ばれるようになり,またトルコ族がペルシア人を示す語としてこのタージークを用いたことから,イスラム教徒一般をも意味するようになった。後にほぼ同義の回回の語が一般的となり,この語は廃れた。…

※「タージー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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