トトナカ文化(読み)トトナカぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「トトナカ文化」の意味・わかりやすい解説

トトナカ文化 (トトナカぶんか)

メキシコ湾岸,ベラクルス州中央部に展開した古代トトナコの文化。最初にオルメカ文化と,次にテオティワカン文化と密接な関係をもち,そうした文化伝統の上に,6世紀ころ独特の文化を開花させた。トトナカTotonaca文化の最大の中心はエル・タヒンEl Tajin遺跡で,壁龕(へきがん)や幾何学文様の装飾を施した建築様式,唐草文状の文様を特徴とする石彫様式,球技用防具の石製模型である〈ユーゴパルマ・儀礼用石斧〉複合,などの美術様式を生み出した。また,レモーハダス様式とよばれる〈笑う人形〉もこの地方の特徴である。エル・タヒンはケツァルコアトル神の別名ナクシトル神信仰の一大中心地でもあり,この信仰の広まりとともに〈タヒネスコ〉様式も各地に足跡を残してゆく。しかし,10~11世紀にミシュテカ文化の進出,12世紀後半にチチメカ族の侵入,15世紀後半のメシカ(アステカ)王国による征服,と変動を繰り返し,1519年にスペイン人を迎える。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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