テオティワカン文化(読み)テオティワカンぶんか(英語表記)Teotihuacán culture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テオティワカン文化」の意味・わかりやすい解説

テオティワカン文化
テオティワカンぶんか
Teotihuacán culture

テオティワカンとは,ナワトル語で神の都または人が神になるところの意。メキシコの代表的な古典期文化 (前 300~後 600頃) で,標式遺跡は,メキシコシティーの北 50kmに位置するテオティワカン遺跡。一般に4期に分けられる。1期 (前 300~150) は文化形成期の後期にあたり,頂部に神殿を祭る日干し煉瓦の基壇が建てられ,神殿都市の基礎が築かれた。2期 (前 150~後 250) には「太陽のピラミッド」「月のピラミッド」など巨大な建造物が構築され,整然とした大都市が誕生した。身分階層の分化,職業の専門化も進み,極彩色壁画石彫,華麗な土器が製作され,豊穣儀礼や各種の祭祀行事が発達した。3期 (250~350) は最盛期を迎え「ケツァルコアトル (翼蛇) の神殿」が建ち,美術工芸の水準は最高潮に達した。またこの時期は広く交易が行われた。4期 (400~600) は北方からトルテカ族の侵入を受けて文化は衰退し,末期には神殿,宮殿も焼け落ちて,住民は南方へ移動し,都市は放棄された。

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