トランシルバニア問題(読み)トランシルバニアもんだい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トランシルバニア問題」の意味・わかりやすい解説

トランシルバニア問題
トランシルバニアもんだい

トランシルバニアの帰属をめぐるハンガリールーマニア間の潜在的領土問題。かつてハンガリーの統治下にあったルーマニア領トランシルバニアには,現在 180万のハンガリー人が居住している。 1988年にチャウシェスク政権の強圧的なルーマニア化政策と国内の約1万 2000の村のうち 7000ヵ所をなくし,大規模な農工業センターにするという農村大改造計画によって大量の難民がハンガリーに流入し,両国関係は極度に悪化した。 89年 12月,トランシルバニアの地方都市ティミショアラで発生したハンガリー系住民の反政府デモが引き金となり,チャウシェスク政権は崩壊した。ルーマニア新政府は少数民族の権利の回復,農村改造計画の中止を発表し,情勢と両国関係は好転に転じたものの,民主化に伴うエスノナショナリズム先鋭化から,90年3月ルーマニア,ハンガリー両系住民が衝突し,死傷者多数を出す事件が起った。 96年,ルーマニア,ハンガリーは,現状国境線の尊重,ルーマニア国内でのハンガリー系住民の権利保護をうたった友好善隣条約に調印し,「歴史的和解」を実現した。

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