日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャウシェスク」の意味・わかりやすい解説
チャウシェスク
ちゃうしぇすく
Nicolae Ceauşescu
(1918―1989)
ルーマニアの政治家。オルテニア地方の農家の出。職を求めてブカレストに出て、1933年に青年共産同盟に入り、1936年に共産党加入と同時に青共の地方書記に就任した。同年から2年半投獄され、出所と同時に青共中央の書記になり、またブカレスト経済専門学校に学んだ。1940年からふたたび投獄されたが、獄中でゲオルギュ・デジらとの連帯感を育てた。1944年の反枢軸クーデターのあと出獄、1948年に党中央委員となった。戦後初期の勢力基盤は軍であった。1944年から准将の資格で軍の政治委員になり、1950年に少将に昇進、国防次官となった。1952~1955年には党中央委組織局長を務め、基盤をさらに固めた。スターリン死(1953)後の政治的動揺の過程でデジにその精力と組織能力を買われ、1954年に党書記、1955年に政治局員に選任された。1965年のデジの死後、47歳の若さで党第一書記に就任し、デジが開始した自主路線をさらに発展させた。権限の集中が特徴的で、党書記長兼大統領のほか、統一戦線、国防、経済、イデオロギーなどの最高機関の議長を兼任した。1989年の民主化で失脚、死刑となった。
[木戸 蓊]
『N・チャウシェスク著、草野悟一訳『平和と国際協力の政策』(1972・恒文社)』