ネオセラトダス(英語表記)Epiceratodus forsteri

改訂新版 世界大百科事典 「ネオセラトダス」の意味・わかりやすい解説

ネオセラトダス
Epiceratodus forsteri

肺魚亜綱エピセラトダス科に属する淡水魚。オーストラリアのクイーンズランド州の河川にすむ。原住民はバラムンダbarramundaと呼んだ。セラトダス類の化石はヨーロッパ,アメリカのコロラド州,インドなどで発見されていたが,1869年クイーンズランドで発見された奇魚が,歯の形態からすでに絶滅したと考えられていたこの属の肺魚であるとされ,Ceratodus forsteriという学名が与えられた。しかし,その後属名はNeoceratodus,さらにEpiceratodus(エピセラトダス)と改められた。体は濃緑色で,大きな円鱗におおわれ,胸びれ腹びれは舟のかい状で,こまかいうろこでおおわれる。うきぶくろは対をなした2室には分かれていない。全長約2mに達する。乾季には水たまりに潜んで,うきぶくろにより空気呼吸を営むが,休眠(夏眠)はしない。仔稚魚(しちぎよ)には外鰓(がいさい)も頭部腹面の接着器官も生じない。筋肉は淡紅色で,サケに似て美味であるので,サーモンsalmonとも呼ばれ食用とされる。現在は国により保護されている。
肺魚
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のネオセラトダスの言及

【ハイギョ(肺魚)】より

… 肺魚類は古生代のデボン紀後期から二畳紀にかけて栄え,世界各地の淡水域に広く分布していたので,多くの化石が残されているが,その後急速に衰亡の途をたどり,現生種はオーストラリア,南アメリカ,アフリカの3大陸に3科3属5種が知られているだけである。日本の水族館でもネオセラトダス(エピセラトダス)(イラスト),レピドシレン(イラスト),プロトプテルス(イラスト)が観覧に供されている。この類は孵化(ふか)した仔稚魚(しちぎよ)が種類によりカエルの幼生のような外鰓(がいさい)や頭部腹面に接着器官をもつものがあること,うきぶくろが空気呼吸の機能をもつこと,その他発生上の特徴などから両生類との進化史上の関係が論じられている。…

※「ネオセラトダス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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