ネフティス(読み)ねふてぃす(その他表記)Nephythys

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネフティス」の意味・わかりやすい解説

ネフティス
ねふてぃす
Nephythys

エジプト神話で、原初の女神の一つ。ネフティスというのはプルタルコスらが伝えたギリシア語音で、原語に従えばネブト・フート(「宮殿の女主人」の意)。「オシリス神話」でオシリスを殺した弟セトの妻であるが、兄のオシリスの妻イシスに同情し、ともにオシリスの遺体を捜し求めた。そのため死者の神として、ミイラを収めた柩(ひつぎ)にはイシスとともに翼を広げて死者を守る姿が彫像浮彫り、彩絵などで表されている。プルタルコスによれば、ネフティスは死者の守護神の金狼(きんろう)犬アヌビスの母でもある。頭上に「宮殿」を表すヒエログリフ(象形文字)をのせた姿で表される。上エジプト第七地区の首都フート(ギリシア名ディオスポリス・パルバ)の守護神。

矢島文夫


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android