ハント(R. Timothy (Tim) Hunt)(読み)はんと(英語表記)R. Timothy (Tim) Hunt

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ハント(R. Timothy (Tim) Hunt)
はんと
R. Timothy (Tim) Hunt
(1943― )

イギリスの生化学者。リバプール近郊のネストンに生まれる。1964年ケンブリッジ大学クレア校を卒業。同大学でウサギ網膜血球細胞によるタンパク合成系を用いて、ヘモグロビン合成機構について研究を行い、1968年に博士号を取得。ニューヨークアルバート・アインシュタイン大学医学部での研究を経て、ケンブリッジ大学に戻る。1991年よりイギリス・帝国癌(がん)研究基金研究所研究員。

 ウニを用いた実験系により、受精後の細胞分裂において、他の多くのタンパク質が増加するのに対し、速やかに消失するタンパク質が存在することをみいだした。そして、このタンパク質をサイクリンと同定し、同様にカエルのサイクリンも同定して、この現象が海洋動物に特異的なものではなく普遍的な現象であることを示した。サイクリンはサイクリン依存性リン酸化酵素と結合し、細胞サイクルを調節する鍵となる分子であった。この業績により、L・ハートウェル、P・ナースとともに2001年のノーベル医学生理学賞を受賞した。

[馬場錬成]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例