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ビザなし交流

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ビザなし交流

1992年に始まった北方四島の元島民とロシア人島民らの交流事業。「わが国固有の領土」という日本の立場をもとに、査証ビザ)や旅券パスポート)なしで行き来する。昨年までに元島民の子どもや孫、返還運動に取り組む団体関係者らを含め、延べ約1万2千人が四島を訪問。四島のロシア人も同年までに約8600人が来日した。

(2015-09-02 朝日新聞 朝刊 4総合)

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知恵蔵の解説

ビザなし交流

ロシアが事実上支配し、日本が返還を求めている北方領土と日本との間で行われている相互訪問事業。北方領土の元島民やその子ども、孫、返還運動の関係者、報道関係者、研究者などの条件を満たした者が、旅券(パスポート)や査証(ビザ)を持たずに訪問する。
1991年、旧ソ連のゴルバチョフ大統領が来日した際に提案された。領土問題が解決されるまでの間に相互理解を深め、解決に寄与することを目的に、翌92年から交流を開始。2014年度までに、日本からは約1万2000人が北方領土を訪れ、北方領土からは約8600人が日本を訪れている。
北海道の北東洋上に連なる歯舞(はぼまい)群島、色丹(しこたん)島、国後(くなしり)島、択捉(えとろふ)島は、日本人により開拓され、日本人が住み続けていた。しかし、第2次世界大戦後、ソ連が占拠し、もともと住んでいた島民たちは日本に引き揚げさせられた。終戦時には約1万7000人が住んでいたが、時間の経過によって亡くなり、13年末時点で、元島民は約6500人に減少している。
北方領土について、日本は「歴史的にみても日本固有の領土」と領有権を主張し、現在、ソ連から問題を引き継いだロシアと交渉を行っている。政府は、北方領土をロシア領と認めておらず、日本人がビザを取得して行う訪問の自粛を要請している。
ビザなし交流で北方領土を訪れる際には、ロシアに日本の外務大臣が作成した身分証明書を提出する。ロシアが一般の外国人旅行客などに義務付けている出入国カードの提出や滞在登録はしない。現地では、ロシア人の家庭訪問や日本文化の紹介、領土問題についての意見交換などを行う。訪問団の基地は根室港となっており、12年には専用船「えとぴりか」が就航した。
14年度までは、継続して交流が行われてきたが、15年5月に予定されていた交流は、ロシア側からの「事前準備が間に合わなかった」という突然の申し入れにより中止となった。その後、日露の外交当局による協議で、6月以降の交流を計画通り行うことで合意し、5月下旬には、15年度の第1弾となるロシア人島民の青少年訪問団が来日した。日本からのビザなし交流は、7月に国後、択捉両島を対象に実施されることとなった。
なお、元島民やその親族が旅券や査証なしに北方領土を訪問する方法として、元島民や配偶者、その子どもを対象とする自由訪問、元島民や親族による墓参も認められている。

(南 文枝 ライター/2015年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について | 情報

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