化学辞典 第2版 「フッ化アンチモン」の解説
フッ化アンチモン
フッカアンチモン
antimony fluoride
【Ⅰ】フッ化アンチモン(Ⅲ):SbF3(178.76).三フッ化アンチモンともいう.三酸化二アンチモンSb2O3をフッ化水素酸に溶かして濃縮結晶させると得られる.無色の潮解性の結晶.斜方晶系.融点292 ℃,沸点376 ℃.水に易溶.溶液は酸性を示す.フッ素化剤として用いられる.[CAS 7783-56-4]【Ⅱ】フッ化アンチモン(Ⅴ):SbF5(216.75).五フッ化アンチモンともいう.三フッ化アンチモンにフッ素を通じるか,五塩化アンチモンを無水のフッ化水素と反応させると得られる.無色の油状液体で,融点7 ℃,沸点149.5 ℃.密度2.99 g cm-3.水とはげしく反応して水和物となる.典型的なルイス酸で,ルイス塩基性のフッ化物,たとえばフッ化カリウム KFとはK[SbF6]型のフルオロアンチモン(Ⅴ)酸塩を生じる.超強酸系触媒,フッ素化剤などに用いられる.[CAS 7783-70-2]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報