ヘリボーン作戦(読み)へりぼーんさくせん(その他表記)heliborne

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘリボーン作戦」の意味・わかりやすい解説

ヘリボーン作戦
へりぼーんさくせん
heliborne

ヘリコプターとエアボーン(空挺(くうてい))の合成語で、前線の歩兵隊部隊の展開を、パラシュート降下などではなく、ヘリコプター空輸で行う作戦。第二次世界大戦後にフランスが、インドシナ戦争やアルジェリア戦争で初めて行ったが、この戦法を多用し、またその用法を確立したのは、ベトナム戦争におけるアメリカ軍であった。ヘリコプターによる展開輸送は、目的地に急速に部隊を運んだり、あるいは補充したりでき、また前線の陣地に設営する発着場などの面積が小さくてすみ、拠点の構築が容易に行える。また高い高度からのパラシュート降下に比べ、必要なところに正確に展開が行える。こうした迅速性・柔軟性・正確性がヘリボーンの大きな利点である。他方、戦闘が行われている地域への移動であり、待ち伏せなどを受けやすいという欠点があり、このため武装ヘリコプターを随伴しての火力制圧支援を受けるのが一般的になっている。ヘリボーンは、近代戦での利用範囲が広いことから、世界各国で重視している作戦の一つとなっている。

[青木謙知]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のヘリボーン作戦の言及

【空挺作戦】より

…たとえば追撃戦,上陸・渡河作戦,山地戦など地上移動の困難な場合に使われる。空挺作戦とヘリボーン作戦を合わせて空中機動作戦と総称するが,一般にはこれを空挺作戦と呼ぶ。空挺作戦は,特別に編成,訓練された部隊が,航空部隊と協力して相当の重装備を携行し,長距離を迅速に移動し,敵地にパラシュート降下あるいは強行着陸して,目標地域内の要点を確保する。…

【軍用機】より

…ヘリコプターは多方面で有効に使用された。特にヘリボーン作戦が著しく進歩し,攻撃ヘリコプターが出現したことはヘリコプターの歴史上特筆すべきことであった。輸送機による空中輸送は戦略的にも戦術的にも,かつてない大きな規模で行われた。…

※「ヘリボーン作戦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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