翻訳|position
軍隊の戦闘力を保持増進し,敵の行動を制約するため,土地に工事を施し,各種構築物を設けて防御力を強化した地域。陣地は,戦闘の目的,敵味方の戦法,兵器の性能,地形,風土,また工事に使用できる資材の種類,数量,時日の長短などにより,その施設や構築法が異なる。陣地を適切に運用するとき,自軍の兵力を節約し,損害を減少し,戦力を増大して,敵に打撃を与え,侵入を阻止し,あるいは時間を稼ぐことができる。したがって主として防御のときに用いられるが,攻撃の際にも利用される。陣地は強度により,永久陣地と野戦陣地に分けられる。なお軍用の工事,各種構築物を総称して築城という語が使用されている。
平時から多くの人員,資材,日時をもって,進歩した科学技術を応用し,最も堅固に築設されるものである。この陣地は,国防方針に基づいて,通常,国境または国防上重要な地域に設けて,国境を防衛し,作戦根拠地を確保し,動員を掩護(えんご)し,資源を防護して陸海軍の作戦を容易にする。
要塞は第1次大戦前にみられた永久陣地であり,強固に守備した独立防御地域をいう。所在地により陸地要塞と海岸要塞,規模の大小により大要塞と小要塞,構築の期間により永久要塞と臨時要塞に分けられる。陸地大要塞は,最も重要な戦略要点に建設されたもので,その内部に軍用建築物や資源豊富な住民地を包含するのを通常とし,一般に,前進陣地,本防御線,内部防護線,囲郭,複郭などの諸防御線からなっている。囲郭は,敵の奇襲にたいし核心を防護し,また内部防御線陥落後も抵抗を持続するのを任務とし,複郭は,囲郭陥落後も最後の抵抗を行う陣地であった。海岸要塞は,主要な海運基地や海岸の枢要地点などに築設したもので,陸海両正面にたいして堅固に編成された。兵器の進歩にともない,従来の平面防御を変じて水中,水面,陸地,上空にたいする立体的防御が必要となり,海軍や航空機との協同が大切であった。
第1次大戦以後は,戦争規模の拡大,軍用技術の進歩により,要塞群あるいは集団要塞よりもさらに大規模な築城地帯を構築するようになった。この築城地帯は,数個の陣地帯を並列するか,縦深(陣地の前縁から後縁までの距離)の大きな一連の陣地帯を構成し,陣地帯の要部は永久陣地とし,これに野戦陣地を併用する。従来の要塞は改善して陣地帯内に包含することも少なくない。陣地帯は通常,前進陣地帯,主陣地帯,後方陣地帯に区分し,主陣地帯と後方陣地帯との間に斜交陣地を設けることがある。またこの陣地帯内,あるいは他の要地に防空陣地が設けられる。主陣地帯は,主抵抗地帯と主力砲兵陣地を主体とする主戦闘陣地であり,数帯に設けることがある。主抵抗地帯の編成方式には,分散配置式(野戦陣地を強化する方式や特火点(小型のコンクリート等で作られた機関銃座や砲座で,一般にトーチカともいう)を用いる方式)と支撐(しとう)点方式(近戦防御の拠点を骨幹とする方式)がある。しかし第2次大戦後は,攻撃兵器の進歩のため従来の永久陣地は少なくなり,大規模な地下掩蔽部の構築が行われている。
戦場で軍隊みずから構築するもので,軽易なものから堅固に構築したものまで各種ある。一般に一個の主陣地帯を最も堅固にし,前方には前進陣地や警戒陣地を,後方には予備陣地を設ける。地形の利用が特に大切であり,森林,市街地,河川,山地,広漠地など地形の特性に応じて陣地編成も異なる。そのほか各陣地相互の支援,全周に対する防御,縦深ある地域の利用,組織的な火力の発揚,障害物活用などの着意が必要である。
執筆者:森松 俊夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…またそのためのトー・シューズの意味にも使われる。ポジシヨンpositionパに移る前後の基本的な静止の位置。クラシック・ダンスの体系は頭,手,腕,体軀,足など身体各部の厳密なポジシヨンの上に成立している。…
※「陣地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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