ベクトル心電計(読み)べくとるしんでんけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベクトル心電計」の意味・わかりやすい解説

ベクトル心電計
べくとるしんでんけい

心臓興奮によって生じる心起電力を、心臓内の1点から発する空間ベクトルとして描記する装置。実際には正面図、水平面図、側面図の3平面投影ごとに、ベクトル環を点線で表し、それぞれをブラウン管上に描記し、記録の必要があれば写真撮影する。X‐Yレコーダーを用いて直記できるものもある。ベクトル心電図を用いると、ベクトル環の形状、回転方向によって心起電力の空間的な特徴が理解しやすいうえに、心電図の各誘導間の関係を詳しく分析できる利点がある。しかし、判読には高度の専門的能力が要求されるために、一般の診療機関には普及していない。

[古川俊之]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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