ベレスティンリス(英語表記)Velestinlis, Rigas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベレスティンリス」の意味・わかりやすい解説

ベレスティンリス
Velestinlis, Rigas

[生]1757. テッサリア
[没]1798.6. ベオグラード
近代ギリシアの思想家。Rigas Pheraiosともいう。ギリシア独立の最初の殉教者として知られる。ザゴラまたはアムベラキアで中等教育を受け,のちにワラキア公となるアレクサンドロスイプシランディス秘書となる。その後ワラキアへ移住し大貴族の秘書を務めつつ,同地のギリシア知識人と交流,思想家としても知られるようになる。1796年にウィーン秘密結社を設立し,「人権宣言」「戦歌」,そして明らかにフランス革命の 1793,1795年憲法の影響を受けている「ギリシア共和国憲法」によってみずからの革命的姿勢を明らかにした。そのなかでは,オスマン帝国下の諸民族の平等を唱えているものの,ギリシア語を公用語に指定した例からもわかるように,ギリシア人の特権的立場を擁護し,最終的には共和政体のビザンチン帝国復興を目指している。1797年12月蜂起決行直前に仲間のギリシア人によって密告され,オーストリア当局によって逮捕。オスマン政府の手で,ベオグラードで虐殺されたのち,サバ川に投げ捨てられた。バルカン諸民族に革命思想を吹き込もうとするベレスティンリスの努力実際には成功しなかったが,のちのギリシア愛国主義者に多大な影響を与えた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android