ボルキア国王(読み)ぼるきあこくおう(英語表記)Hassanal Bolkiah

知恵蔵 「ボルキア国王」の解説

ボルキア国王

ブルネイ(正式国名はヌガラ・ブルネイ・ダルサラーム)は立憲君主国。国王は憲法では宗教、枢密閣僚、継承の4つの評議会を主宰し、評議会の助言を得て行政権を行使する。立法議会は当初全21議席とも国王の任命制で、国王が全権を掌握する専制君主制が実態であり、1984年の独立直後から停止されていた。しかし、2004年9月に再開され、議会の構成に関する憲法改正が行われ、公選議員が含まれることとなった。現国王ハサナル・ボルキアは46年7月生まれ。旧宗主国の英陸軍士官学校で学び、67年10月、第29代スルタン(世襲制)に就き、84年1月1日の独立に伴い国王に即位した。首相、国防相を兼任。また弟のジェフリ・ボルキア財務相の巨額公金流用問題が発覚、98年に解任してからは財務相も兼ねる。豊富な石油・天然ガス収入があり、200億ドルを超す個人資産を持つ世界屈指の富豪として知られる。輸出原油の約15%、液化天然ガスの85%が日本向け。中長期的には原油依存体質から脱皮し、いかに経済構造の多角化を図るかが課題だ。

(大野拓司 朝日新聞記者 / 2007年)

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