知恵蔵 「ポスト・トゥルース」の解説
ポスト・トゥルース
16年は、英国のEU離脱(ブレグジット)や米国大統領選でのトランプ勝利など、事前の予想を大きく覆す出来事が相次いだ。これらの投票において、大手メディアが発信した事実を基にしたニュースよりも、事実誤認や裏付けのない情報を基にしたフェイクニュースの方が多くの人の感情を揺るがし、投票行動を大きく左右したという指摘が出たことなどにより、英国メディアでの「ポスト・トゥルース」の使用頻度は前年の約20倍に増えたという。フェイクニュースが増えた背景には、既存のメディアに対する信頼度が低下していること、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及で簡単かつ急速に情報が拡散しやすい状況になったことなどが挙げられる。
ポスト・トゥルース時代では、これまで以上にメディアリテラシー(情報の真偽を見抜く力)が強く求められるという意見があるが、一方では、事実か虚偽かは重要ではない、虚偽であっても自分に好都合の情報ならそれで良い、などといった風潮が拡大しているという指摘もある。
(大迫秀樹 フリー編集者/2017年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報