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虚偽 きょぎfallacy

翻訳|fallacy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

虚偽
きょぎ
fallacy

誤った思考。論理学では誤った推理。誤謬,論過ともいう。故意に行う虚の議論を詭弁という。アリストテレスの虚偽論以来,種々の分類が行われ一定しないが,おもなものは次のとおりである。 (1) 事柄の誤述 (a) 偶有性の虚偽 本質的性質と偶然的性質を混同する場合。 (b) 偶然の虚偽 一般原則を特殊事例にそのまま適用し,またその逆の場合。 (c) 論点相異の虚偽 議論中に恣意に論点を変更したり,相手の感情に訴えたりする場合。 (d) 論点先取の虚偽 いまだ証明されていないものを前提に加える,または前提が真であることを結論によって論証する場合。 (e) 帰結の虚偽 継起的判断を逆順とする場合。 (f) 不当理由の虚偽 理由にならぬことを理由とする場合。 (g) 前後即因果の虚偽 前後関係を因果関係とみる場合。 (h) 複問の虚偽 1つの質問に2つの意味を含ませる場合。 (2) 言語の誤用 語意や文意の曖昧。語や文が真でも結合や分解によって偽となること,文章の一部強調や語形の類似を意味の類似とみることからくる虚偽など。 (3) 推理過程の誤り 三段論法の規則に対する反則。真実性に対する沈黙のような消極的行為も虚偽とみなされることもある。動機が愛から出た場合は必ずしも退けられない。

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デジタル大辞泉の解説

きょ‐ぎ【虚偽】

真実ではないのに、真実のように見せかけること。うそ。いつわり。「虚偽の申し立て」

こ‐ぎ【虚偽】

きょぎ(虚偽)」に同じ。
「今までの―、本心にかへって、仏の道に入れ」〈浮・一代女・六〉

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百科事典マイペディアの解説

虚偽【きょぎ】

外見は正しいようにみえるが,実は誤っている論理。論理学では誤った推理(推論)をいい,推理の規則を守らないことからくる形式的虚偽とそれ以外の非形式的虚偽に分ける。
→関連項目循環論法真理

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世界大百科事典 第2版の解説

きょぎ【虚偽 fallacy】

一見正しく見えはするがほんとうはまちがっている議論のこと。虚偽はある場合は他人をあざむくために使われ,ある場合には,あざむく意図がなくとも知らずにうっかり使われる。しかしいずれの場合にしても虚偽を使用することは好ましくないことであり,それゆえ論理学の目的の一つはそうした虚偽をあばきだし,その使用を食い止めることにある。虚偽とは人間の理性がおかされる病気といえるが,ちょうど生理学が人体の病気の研究である病理学から発展したのとおなじように,論理学は理性の病気の研究である虚偽論から発展してきた。

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大辞林 第三版の解説

きょぎ【虚偽】

真実ではないと知りながら真実であるかのようにみせること。うそ。いつわり。こぎ。 「 -の申告をする」 「 -の証言」
〘論〙 〔fallacy〕 ⇒ 誤謬ごびゆう

こぎ【虚偽】

〔「こ」は呉音〕
きょぎ(虚偽) 」に同じ。 「言説念慮はこれ幻化-の夢中の妄想也/沙石 一〇・古活字本

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

虚偽
きょぎ

英語のfalsehoodなどに対応する概念であって、普通は「事実に反することを述べること」などと定義される。しかし、事実とはいったい何であるかについては、さまざまな哲学的な議論がある。たとえば、「目の前に桃色のゾウがいる」といったアルコール中毒患者は、虚偽を述べたことになるのであろうか。当人に見えたものを事実とすれば、おそらく当人は事実を述べているのである。しかし、他人にはそのゾウは見えない。そのことから虚偽だということにするなら、事実とは、他人に見えた事柄だということになるのか。しかし、それなら、他人が1人もいないときには、事実はないことになるのだろうか。こういったことを追いかけてゆくと、認識論上の長い議論に巻き込まれることになる。また、数学的命題の場合、表現している事実がかりにあるとしても、それは一義的には決まらない、とするのが、近ごろの論理学界の主流派の意見である。要するに「事実」というのは、哲学的に問題の多い概念なのである。
 ところで、数学的な命題は、無矛盾な公理論に組み入れられたとき、その否定が定理である場合には、正しくないものとされる。このように、なんらかの基準によって正しくないものとされる命題を「虚偽」あるいは「偽(いつわり)な命題」とよぶことがある。この言い方では、事実への言及を避けることができるが、そのかわり、虚偽であるかどうかは、基準に応じて変わる、相対的な性質だということになる。[吉田夏彦]

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