改訂新版 世界大百科事典 「メソンファクトリー」の意味・わかりやすい解説
メソンファクトリー
meson factory
π中間子とその崩壊過程で生ずるμ粒子は素粒子物理学,原子核物理学ばかりでなく,物質科学から生物,医学に及ぶ広い範囲にわたって研究や実用に用いられている。その目的のために,大強度のπ中間子ビームおよびμ粒子ビームを発生する施設をメソンファクトリー,すなわち中間子工場と呼んでいる。施設の中心は数百MeVの大強度陽子加速器で,π中間子は大強度の陽子ビームを原子核標的に照射することによって発生される。現在,世界ではアメリカ,カナダ,スイスで,メソンファクトリーが稼動しており,日本でも,筑波の高エネルギー物理学研究所に,瞬時強度ではこれらのメソンファクトリーをしのぐパルス状大強度中間子ビームを発生する施設が稼動している。
執筆者:中井 浩二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報