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原子核物理学 げんしかくぶつりがくnuclear physics

翻訳|nuclear physics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

原子核物理学
げんしかくぶつりがく
nuclear physics

核物理学ともいう。原子核の構造と性質,原子核同士の相互作用による核反応などを研究する物理学の分野。 1896年の H.ベクレル放射能の発見,1911年の E.ラザフォードの原子核の存在の証明に始った原子核の研究は,粒子加速器および粒子検出器の開発・改善を経て実験的研究が発展をとげた。また 32年 J.チャドウィック中性子の発見により原子核が陽子と中性子からつくられていることが明らかとなり,それらの間に働く核力および殻構造の理論的研究が進んできた。また核分裂および核融合の研究は核エネルギーの開発研究を対象とする原子核工学を生み出した。さらに熱核融合は星のエネルギー源とみなされ,核物理学の成果は天体物理学の研究に不可欠のものとなっている。放射性同位元素の知識は地質学,生物学,農学,工学,医学などにも応用されている。特に,高速粒子加速器の発達は高エネルギーの核反応を可能とし,多くの種類の素粒子をつくりだすことに成功し,素粒子物理学へと分化した。

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デジタル大辞泉の解説

げんしかく‐ぶつりがく【原子核物理学】

原子核特性・内部構造・核反応などを研究する物理学。核物理学。

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百科事典マイペディアの解説

原子核物理学【げんしかくぶつりがく】

原子核の構造,性質,反応等を研究する物理学の一部門。原子核のスピン磁気モーメント結合エネルギー励起状態等静的な性質の研究と,放射能核反応等動的な性質の研究とがある。
→関連項目原子核原子核模型原子物理学素粒子原子核研究所西川正治

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大辞林 第三版の解説

げんしかくぶつりがく【原子核物理学】

原子核の性質と構造、および核反応を研究する物理学の部門。原子核の構成粒子と核力の性質が明らかになると核反応と新しい核種の発見があいついで行われ、ついで粒子加速器などを利用して個々の核種の励起状態と核の内部構造の研究が行われてきた。核物理学。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

原子核物理学
げんしかくぶつりがく
nuclear physics

原子核、素粒子および宇宙線に関する物理学の総称。原子核、素粒子および宇宙線の現象は、電磁的相互作用や重力の影響を受けるが、これ以外の強い相互作用や弱い相互作用が決定的な役割を演ずる。いいかえれば物質の原子的構造を研究する物性論に対し、物質のさらに深い層を対象とする分野といえよう。この意味の原子核物理学を核物理学ともいう。また、原子核物理学を狭く原子核に関する物理学の分野という意味に用い、これに対して素粒子現象を研究する分野を素粒子論、素粒子学particle physicsという。今後このように使い分けていくものと思われる。原子核物理学の実験的研究には加速器など大規模な装置を必要とする。日本では高エネルギー加速器研究機構、日本原子力研究開発機構、理化学研究所、東北大学、大阪大学核物理学センターなどに強力な加速器が設けられている。またこの分野は原子力研究の基礎分野の一つでもある。[田中 一・加藤幾芳]
『杉本健三・村岡光男著『原子核物理学』(1988・共立出版) ▽阿部龍蔵・川村清監修、永江知文・永宮正治著『原子核物理学』(2000・裳華房) ▽朝倉物理学大系編集委員会編『現代物理学の歴史1 素粒子・原子核・宇宙』(2004・朝倉書店)』

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世界大百科事典内の原子核物理学の言及

【原子核】より

…この力は核力と呼ばれ,その起源を説明するものとして,湯川秀樹により核子が中間子をやりとりすることによって生ずるという,いわゆる中間子論が生まれた。
[原子核物理学の発達]
 この分野の研究は,その後続々と発見された新しい粒子と,その間の相互作用を扱う素粒子物理学と原子核そのものを研究対象とする原子核物理学とに分かれ,後者では,原子核のさまざまな性質を核力から出発して説明しようとする基礎論と,比較的簡単な模型(原子核模型)によって観測されている事実を系統的に記述しようとする現象論とが並行して発達した。原子核模型としては,まず,原子核の核子密度や核子当りの結合エネルギーが質量数にあまり依存しないという飽和性から,原子核を液滴で近似する液滴模型が提唱され,この模型は原子核のおおまかな性質を説明するのに成功すると同時に,核分裂過程,原子核の集団運動,さらには最近の重い原子核どうしの衝突などを記述する模型の出発点となっている。…

※「原子核物理学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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