原子核、素粒子および宇宙線に関する物理学の総称。原子核、素粒子および宇宙線の現象は、電磁的相互作用や重力の影響を受けるが、これ以外の強い相互作用や弱い相互作用が決定的な役割を演ずる。いいかえれば物質の原子的構造を研究する物性論に対し、物質のさらに深い層を対象とする分野といえよう。この意味の原子核物理学を核物理学ともいう。また、原子核物理学を狭く原子核に関する物理学の分野という意味に用い、これに対して素粒子現象を研究する分野を素粒子論、素粒子学particle physicsという。今後このように使い分けていくものと思われる。原子核物理学の実験的研究には加速器など大規模な装置を必要とする。日本では高エネルギー加速器研究機構、日本原子力研究開発機構、理化学研究所、東北大学、大阪大学核物理学センターなどに強力な加速器が設けられている。またこの分野は原子力研究の基礎分野の一つでもある。
[田中 一・加藤幾芳]
『杉本健三・村岡光男著『原子核物理学』(1988・共立出版)』▽『阿部龍蔵・川村清監修、永江知文・永宮正治著『原子核物理学』(2000・裳華房)』▽『朝倉物理学大系編集委員会編『現代物理学の歴史1 素粒子・原子核・宇宙』(2004・朝倉書店)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…この力は核力と呼ばれ,その起源を説明するものとして,湯川秀樹により核子が中間子をやりとりすることによって生ずるという,いわゆる中間子論が生まれた。
[原子核物理学の発達]
この分野の研究は,その後続々と発見された新しい粒子と,その間の相互作用を扱う素粒子物理学と原子核そのものを研究対象とする原子核物理学とに分かれ,後者では,原子核のさまざまな性質を核力から出発して説明しようとする基礎論と,比較的簡単な模型(原子核模型)によって観測されている事実を系統的に記述しようとする現象論とが並行して発達した。原子核模型としては,まず,原子核の核子密度や核子当りの結合エネルギーが質量数にあまり依存しないという飽和性から,原子核を液滴で近似する液滴模型が提唱され,この模型は原子核のおおまかな性質を説明するのに成功すると同時に,核分裂過程,原子核の集団運動,さらには最近の重い原子核どうしの衝突などを記述する模型の出発点となっている。…
※「原子核物理学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新