素粒子物理学(読み)そりゅうしぶつりがく(英語表記)elementary particle physics

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

素粒子物理学
そりゅうしぶつりがく
elementary particle physics

素粒子の性質や構造,素粒子間の相互作用を研究し,物理学の最も基本的な法則を明らかにすることを目指す分野。素粒子の実験的研究には非常に高いエネルギーの粒子が必要なので,その実験的部分を特に高エネルギー物理学と呼ぶ。物質の根源の探求は 19世紀末の電子の発見以来,半世紀の間に光子陽子中性子陽電子μ粒子π中間子などの素粒子の発見をもたらしたが,1950年代以降,高エネルギー加速器が次々と建設され,新しい素粒子の発見がこれに続いた。今日では素粒子はクォークレプトン,そしてゲージボソンの三つに分類されている。一方,これら素粒子の相互作用は強い相互作用電磁相互作用弱い相互作用重力相互作用に大別される。1970年代に入り,これらの相互作用はすべてゲージ不変性の原理に従う繰り込み可能な量子論で記述されることが明らかになった。特に電磁相互作用と弱い相互作用を統一して記述する電弱統一理論が成功を収め,強い相互作用の量子色力学とともに素粒子の標準理論となった。これらの相互作用をさらに統一しようとする大統一理論も提唱されている。その大統一理論によるとクォークはレプトンに転換することが可能で,このため陽子はある寿命で陽電子へ崩壊する。この陽子崩壊の予言を検証する努力も続けられている。また,重力相互作用をも含む究極の統一理論として超弦理論も研究の対象となり精力的な研究が行なわれている。

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知恵蔵の解説

素粒子物理学

物質の究極の素(もと)に迫る物理学。原子核を形づくる粒子や基本粒子などの顔ぶれや振る舞いを探る。古代ギリシャの原子論の流れをくむ純粋科学の主流の1つ。宇宙論の視点でみれば、宇宙誕生の大爆発(ビッグバン)直後の高エネルギー世界を知ることになるので、高エネルギー物理学と呼ばれることも多い。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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デジタル大辞泉の解説

そりゅうし‐ぶつりがく〔ソリフシ‐〕【素粒子物理学】

素粒子の構造・性質・相互作用などを研究し、自然界の最も基本的な物理法則を探究する物理学の一分野。理論的には素粒子論といい、特殊相対性理論量子論を基礎として場の理論量子電磁力学からゲージ理論大統一理論などを展開する。実験的には加速器を使って加速・高エネルギー化した粒子を必要とすることから、高エネルギー物理学ともいう。

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百科事典マイペディアの解説

素粒子物理学【そりゅうしぶつりがく】

素粒子の性質やその構造,素粒子間の相互作用などを研究する学問。高いエネルギー領域での研究であることから高エネルギー物理学ともいい,またとくに素粒子物理学の理論部分を素粒子論とよぶこともある。
→関連項目素粒子原子核研究所

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世界大百科事典 第2版の解説

そりゅうしぶつりがく【素粒子物理学 elementary particle physics】

素粒子の性質やその構造,素粒子間の相互作用などを研究する学問。高いエネルギー領域での研究であることから高エネルギー物理学ともいい,またとくに素粒子物理学の理論部分を素粒子論と呼ぶこともある。 素粒子物理学といってもその内容は時とともに変遷してきた。それは素粒子自身の内容が変わってきたことと軌を一にする。しかし,いずれの時代でももっとも究極的な,あるいは基本的な物質的存在を科学的に研究する学問が存在し続けてきたわけであり,ほぼ1950年代以降そのような物理学の一分野を素粒子物理学と呼ぶようになったと思われる。

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