メタメリズム(読み)めためりずむ(英語表記)metamerism

翻訳|metamerism

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メタメリズム」の意味・わかりやすい解説

メタメリズム
めためりずむ
metamerism

構造の違いによって生ずる異性の一つ。おもに有機化合物にみられる異性で、化学的性質が類似しているが、多価原子に結合している水素原子個数が異なる場合の異性。メタメリーともいう。たとえば、プロピルアミンNH2CH2CH2CH3あるいはイソプロピルアミン(CH3)2CHNH2トリメチルアミン(CH3)3Nは、いずれも分子式がC3H9Nとなる脂肪族アミンであるが、多価原子である窒素原子に対して、前2者には2個の水素原子が結合しているが、後者には1個も結合していない。前2者のプロピルアミンとイソプロピルアミンとの関係は連鎖(鎖形)異性であり、ともに2個の水素原子が窒素原子に結合しているので、メタメリズムとはいわない。

[岩本振武]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のメタメリズムの言及

【異性】より

…しかし,再検討の結果,この二つの化合物が誤差の範囲で組成は同一なのに,まったく性質が異なる化合物であることが明白となった。 30年J.J.ベルセリウスは,酒石酸とラセミ酸とが同一組成をもつことを確認したうえで,これらを包括するいくつかの概念,すなわち同一分子式をもつ〈異性〉,同一組成をもつが分子量が異なる〈異量polymerism〉(たとえばエチレンC2H4とブチレンC4H8),同じ組成をもつが異なる構成部分をもつ〈メタメリズムmetamerism〉などを定義した。当初はこれらのすべては広義の異性とみなされたが,しだいに狭義の異性の概念が用いられるようになった。…

※「メタメリズム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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