日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨウ化アルキル」の意味・わかりやすい解説
ヨウ化アルキル
ようかあるきる
alkyl iodide
飽和炭化水素の水素原子1個をヨウ素原子で置換した化合物の総称で、CnH2n+1Iの組成をもつ。反応式中では、アルキル基をRと略記して、一般式RIで表すことがある。製法には次のようなものがある。
(1)アルコールに赤リンとヨウ素を加えて加熱する。
6ROH+2P+3I2―→6RI+2P(OH)3
(2)硫酸ジアルキルをヨウ化カリウムと反応させる。
R2SO4+2KI―→2RI+K2SO4
(3)アルケンにヨウ化水素を付加させる。
R-CH=CH2+HI―→R-CHI-CH3
(R-CH2-CH2Iにはならない)
炭素数の少ないものは一般に比重が大きい無色の液体で、水に不溶、有機溶媒に可溶で、水中では徐々に分解してアルコールを生じる。エーテル中でマグネシウムと反応して、アルキルマグネシウムヨウ化物(グリニャール試薬)になる。おもに、アルキル化剤として用いられる。
[加治有恒・廣田 穰 2016年11月18日]