日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨウ化カリウム」の意味・わかりやすい解説
ヨウ化カリウム
ようかかりうむ
potassium iodide
カリウムとヨウ素の化合物。ヨウ化水素のカリウム塩である。ヨードカリJodkaliともいわれるが正しい名称ではない。水酸化カリウム水溶液にヨウ素を溶かし、蒸発濃縮すれば得られるが、副生しているヨウ素酸カリウムKIO3を還元するために、さらに木炭を加えて加熱する方法が用いられる。
3I2+6KOH―→5KI+KIO3+3H2O
2KIO3+3C―→2KI+3CO2
工業的にはヨウ素を鉄粉と反応させてヨウ化鉄Fe3I8とし、炭酸カリウムで処理する方法が行われる。無色の結晶で、水によく溶け、そのとき著しく吸熱する。水溶液は中性または微アルカリ性を呈し、ヨウ素を溶かす性質がある。ヨウ素化合物の原料となるほか、医薬として慢性関節炎、慢性リウマチ、神経痛、梅毒などの治療に用いられる。劇薬。
[鳥居泰男]