ラワ族(読み)ラワぞく(英語表記)Lawa

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラワ族」の意味・わかりやすい解説

ラワ族
ラワぞく
Lawa

タイ北部のチエンマイに近い山地に住む一民族。言語はモン=クメール語族に属する。ミャンマーから中国雲南省にかけて住むワ族の一つ。元来平地一帯に住んでいたが,タイ族に追われて現在地へ移住したといわれる。生業水稲耕作と焼畑での陸稲耕作である。かつては鉄鍛冶が盛んであったが交通が開けるにつれて衰えた。住居杭上家屋で破風を道に向けて建っている。村は尾根に位置し,中央の道に沿って形成されるが,端に集会所と供犠柱を備える。ラワ社会は3階層から成り,上位2層の司祭層は焼畑の先取権をもつ。数年から数十年間隔で水牛供犠を行うが,仏教化されつつある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のラワ族の言及

【アウストロアジア語系諸族】より

アウストロアジア語族に属する言語を話す諸族の総称。中部インドからインドシナ半島にかけて分布し,その経済形態も,マレー半島のセマン族やタイ,ラオスの山地のピー・トン・ルアン族のような採集狩猟民,ニコバル諸島民のようなイモ類・果樹栽培民,ベトナム中部・南部からラオス,カンボジアにかけての山地諸族(モイ,カー,プノンなどで,モンタニャールと総称する),北タイのラワ族や中国雲南のワ族のような焼畑稲作民,インドのムンダ族のような棚田耕作民,ベトナム人,クメール族モン族のような平地水稲耕作民にわたっている。 アウストロアジア語系諸族の分布地域は広いが,連続しておらず,タイ語系やチベット・ビルマ語系の諸族によって分断されている。…

※「ラワ族」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android