…恋愛を中心とする自己の感情の起伏や精神的苦悩を主人公に仮託して描く自伝文学は,ロマン主義文学の中でも主要な位置を占め,ゲーテの《若きウェルターの悩み》,シャトーブリアンの《ルネ》(1802),セナンクールの《オーベルマン》(1804),コンスタンの《アドルフ》へと継承され,ミュッセの《世紀児の告白》(1836)へと受け継がれる。この系譜の中からは,激変する社会の現実と自己の存在との乖離(かいり)を感じ,愛に満たされず何かを求め続け現実から逃避していく〈世紀病mal du siècle〉を病んだロマン派的魂の典型が浮かび上がる。 イギリスにおけるロマン主義は,1800年ころにワーズワースとコールリジを中心に提唱され,1810年から20年にかけてバイロン,シェリー,キーツ,あるいはブレークらの詩人の登場によって頂点を迎えた。…
…31年,特派員としてパリに赴き,以後亡命し,その死去まで同地で過ごす。散文を〈武器〉とするこのような創作活動の頂点に位置するのが,《ロマン派Die romantische Schule》(1836刊,1833年に《ドイツにおける近代文学の歴史のために》の題で発表)と《ドイツ宗教・哲学史考》(1834)にほかならない。これら二つの労作の中で,ハイネはヘーゲルの弁証法とサン・シモンの教義を融合させた独自の歴史観を展開し,そこからきたるべきドイツ革命の必然性を,予見的に描きだした。…
※「ロマン派」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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