一字体(読み)いちじたい

精選版 日本国語大辞典 「一字体」の意味・読み・例文・類語

いちじ‐たい【一字体】

〘名〙 花押(かおう)様式一つ自分の名乗りの一字、あるいは吉字を選んで花押にしたもの。鎌倉末期から戦国時代にかけて流行。〔押字考(1717‐84)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の一字体の言及

【花押】より

…日本の花押も中国にならって用い始めたと考えられ,その時期は遺存史料の限りでは10世紀前半期ころのようである(933年の坂上経行の花押が初見)。 花押には(1)自署,草名から起こった草名体(例えば三蹟の一人藤原行成)のほかに,(2)諱(いみな)(実名)の偏,旁(つくり),冠などを組み合わせて作る二合(にごう)体(例えば源頼親,源頼朝),(3)諱の一字または他の特定の文字を形様化した一字体(例えば平忠盛の〈忠〉,足利義満の〈義〉,足利義政の〈慈〉,豊臣秀吉の〈悉〉),(4)動物(鳥がよく用いられる),天象等を図形化した別用体(例えば三好政康の水鳥,伊達政宗のセキレイ,大陽義冲の大陽)などがある。平安時代には草名体,二合体が多く一字体も間々用いられたが,鎌倉時代以降はほとんど二合体と一字体が用いられ,別用体はごく一部の武士,僧侶,文人の間に用いられたにとどまる(図)。…

※「一字体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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