一字(読み)イチジ

デジタル大辞泉 「一字」の意味・読み・例文・類語

いち‐じ【一字】

一つ文字
一文銭いちもんせん表面に文字が四つあるところから》1文の4分の1。2分5厘。〈書言字考節用集〉
(「一銭一字」「一文一字」などの形で)わずかなぜに1文を強調する言い方。
「一文―違うても、おのれが生けておかれうか」〈浄・二枚絵草紙〉

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精選版 日本国語大辞典 「一字」の意味・読み・例文・類語

いち‐じ【一字】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 一つの文字。
    1. [初出の実例]「光明満法界、一字務津梁」(出典:性霊集‐一(835頃)遊山慕仙詩)
    2. 「僻陬(いなか)には一丁字(イチジ)も読ぬ水呑百姓のみにて」(出典:開化のはなし(1879)〈辻弘想〉二)
    3. [その他の文献]〔晉書‐衛恒伝〕
  3. 漢数字の「一」の文字。真一文字
  4. 「一字御免」において高貴の人が与える諱(いみな)の一つの文字。普通、諱の下字を与えるが、上字を与えるときは優遇を意味する。一字拝領した者は自家の通り名をその下に付して自身の諱とする。僧家、公家にも例を見るが、武家においてはすでに頼朝に始まる。
    1. [初出の実例]「国人一揆中には御酒一献。但元服ありて御一字を被申時は三献」(出典:鎌倉殿中以下年中行事(1454か)正月一四日)
  5. 一文銭の四分の一。二分五厘にあたる。一文銭の表に四文字あるところからいう。〔書言字考節用集(1717)〕
  6. 小額な金としての銭一文を強調していう。「一文一字」「一字半銭」「一銭一字」などと熟して用いる。
    1. [初出の実例]「一文一字ちがふても、おのれがいけておかれうか」(出典:浄瑠璃・心中二枚絵草紙(1706頃)中)
  7. 一筆書(ひとふでが)きのこと。
    1. [初出の実例]「あそばした一字の夢やさますらん 其時てい家むねに手ををく〈三昌〉」(出典:俳諧・大坂独吟集(1675)上)
  8. いちじ(一時)

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普及版 字通 「一字」の読み・字形・画数・意味

【一字】いちじ

詩文の一字を改めるを、一字の師という。〔詩人玉、一字の師〕齊己に~早の詩り、云ふ、村深の裏(うち) 昨夜數枝開くと。()谷曰く、數枝は早きに非ず、未だ一枝に(し)かずと。齊己覺えず下拜す。是れより士林、谷を以て一字の師と爲す。

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