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流行 りゅうこうfashion

翻訳|fashion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

流行
りゅうこう
fashion

風習や慣習に対し,ある一定の期間,相当数の人々がある新しい行動様式を自由に選択し,採用し,廃棄することによって生じる広範囲な社会的同調行動の現象。これを社会的に存在せしめる正当性の根拠は「新しさ」という点にある。流行はアイディアあるいはイノベーションの普及過程の一領域である。一般的には些細なものをめぐって生じ,それは一時的ではかないものであるが,人々の目には無視することのできない変化として感じられる。流行の採用や廃棄は個人の自由裁量にゆだねられ,慣習や規範と異なり,社会的な統制や制裁を伴わないが,心理的な圧力で統制され個人をこえた圧力として人間に迫ってくる。流行は他人の目を意識するところに成立し,価値の変化を含んでおり,社会的影響が強まると文化変動を促す一要因になったり,慣習や規範の枠を破るようになることもある。資本主義社会では,流行は企業化,商品化され,資本の利潤追求に利用されている。

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デジタル大辞泉の解説

りゅう‐こう〔リウカウ〕【流行】

[名](スル)
世間に広く行われ、用いられること。服装・言葉・思想など、ある様式や風俗が一時的にもてはやされ、世間に広まること。はやり。「ミニスカートが流行する」「流行を追う」「流行遅れ」
病気などが、急速な勢いで世の中に広がること。「はしかが流行する」
蕉風俳諧で、句の姿が、その時々を反映して変化していくもの。→不易流行(ふえきりゅうこう)

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百科事典マイペディアの解説

流行【りゅうこう】

趣味・嗜好(しこう),思考・行動様式など,人間の社会的活動において,ある社会集団内で比較的短期間採用される類似したパターン。流行の起こる条件としては新奇なものへの欲求好奇心,自己を他よりきわだたせたいという個性化や自己主張への要求,他人からとり残されたくないという同調の要求があげられる。

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世界大百科事典 第2版の解説

りゅうこう【流行】

広い意味では普及現象のすべてを指して用いられるが,一般には,新しい行動様式や思考様式が,社会や集団の一定のメンバーの間にだんだんと普及し,その結果,一定の規模となった一時的な集合現象をいう。流行は,人びとが,ある一定の行動様式や思考様式を,個人の自由裁量によって選択し,採用した結果として生ずる社会現象であり,人びとの日常生活における行動様式や生活様式にかかわる外面的・物質的なものから,歌,言葉,ある種のものの考え方や思想,芸術等のより内面的・非物質的なものにいたるまで,社会のあらゆる領域にみられる現象である。

りゅうこう【流行 epidemia】

医学用語。特定の感染症がある一定の地域で多発する状態をいう。流行の規模が世界的な広がりとなった場合を世界的流行または汎発的流行pandemia,地方的あるいは散発的である場合を地方的流行endemiaと称する。なお,近年は非感染性の疾病に対しても用いられることがある。以下,流行の原因となる主要な感染症について解説する。
[インフルエンザ]
 A型インフルエンザは過去幾度か汎発的流行を起こしているが,1918‐19年のいわゆるスペイン風邪は史上空前の規模の流行で,全世界人口の約半数が罹患し,死者は2300万人に達したとされ,日本でも2300万人が罹患し,38万人余が死亡したと記録されている。

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大辞林 第三版の解説

りゅうこう【流行】

( 名 ) スル
ある現象が、一時的に世間に広まること。特に、ある型の服装・言葉あるいは思想・行動様式などがもてはやされて、一時的に広く世間で用い行われること。はやり。 「 -の先端を行く」 「 -を追う」 「ミニスカートが-する」 「 -作家」
ある病気が、短期間のうちに世間に広がること。 「インフルエンザが-する」
俳諧で、時代とともに絶えず変わり、新しくなるもの。 → 不易流行ふえきりゆうこう

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

流行
りゅうこう
fashion英語
Modeドイツ語
modeフランス語

特定の社会や集団において一時的に許容され、普及している非慣習的な行動様式ないし文化様式であって、「ファッド(fad、小規模で一時的な流行)と慣習との中間にあるもの」といわれる。流行は一般に、社会集団・階層の一部少数者によって他に先駆けて採用された新奇な行動様式・文化様式が、ある場合には爆発的に、他の場合には緩慢に比較的多数の人々に一定期間いきわたる集合現象であるが、大衆消費社会・高度情報化社会の到来とともに、企業・業界がマスコミを介して大衆を巧みに誘導し、自らに都合のいい流行をつくり出す場合が少なからずある。[岡田直之]

流行の成立と特性

G・ジンメルがかつて述べたように、流行は人々の「同調性への欲求」と「差別化への欲求」との相克のダイナミズムと微妙なバランスのうえに成立する。あるいは、柏木博(1946― )のことばを借りるならば、ファッションの流行は「差異を求めて同一化する奇妙な欲望の運動」であるといえよう。流行の採用者や追随者は、一方で慣習的行動様式から逸脱し、他方では斬新(ざんしん)な行動様式に同調するアンビバレントな行動性向を示すといってよい。このパラドックスの帰結として、流行は慣習の許容する範囲内における既成の行動様式のバリエーションとして現れやすく、E・サピアのいうように、流行は「慣習の容認する気まぐれ」である。鈴木裕久(ひろひさ)(1936― )は流行の基本的特性を、(1)新奇性、(2)効用からの独立性、(3)短命性、(4)瑣末(さまつ)性、(5)機能的選択性(ある選択肢群のなかから特定のもののみが選択されること)、(6)周期性、にまとめている。(2)は記号性といいかえてもよいだろう。流行はなんらかの程度において、これらの特性を兼ね備えていなければならない。[岡田直之]

分類

流行には、さまざまの種類や領域がある。南博(みなみひろし)(1914―2001)は流行の内容に即して、(1)衣食住を中心とする物の流行、(2)ゲーム、スポーツ、賭(か)け事などの行為の流行、(3)人間の精神的な過程とその産物に関する思想の流行、に大別している。発生頻度の高い流行はなんといっても、服飾や髪型などに代表される日常生活に密着したものの流行である。流行はその伝播(でんぱ)形式によっても分類できる。池内一(はじめ)(1920―76)によると、(1)流行がそのまま社会的に定着し、常用化する一般化型、(2)急激に普及し、比較的短期間に消滅する減衰型、(3)同類の流行が周期的に繰り返される循環型、が区別されている。流行の伝播形式としては、減衰型がもっとも典型的で、その寿命は通常2~3か月であるといわれている。[岡田直之]

社会変動と流行

流行を社会変動とからめて理解する立場にも注目すべきであろう。アメリカの社会学者ブルーマーHerbert George Blumer(1900―87)は次のように述べている。「長期的にみれば、流行は時代精神Zeitgeist(ドイツ語)ないし共通の主観的生活の構築を助成し、かくして新しい社会秩序の基礎を築くのに役だつ」。流行は絶えず変動する社会において、いまだ未定形の、漠然たる集合的性向・趣向に対して、その表出の機会や回路を提供し、こうした性向や趣向を結晶化し、定型化する集合現象として把握されているのである。この限り、流行は社会変動の重要な一環を担うことになる。[岡田直之]

流行の展開過程

流行の展開過程には二つの決定的段階がある。一つは新しいモデルやアイデアが創出され、提示される段階である。新しい流行の口火を切る人々はイノベーター(革新者)とかイニシエーター(創出者)とよばれ、社会の構造的・文化的拘束から比較的自由な人々である。いま一つはいわゆるファッション・リーダーによる新しいモデルやアイデアの選別と正当化である。ファッション・リーダーは個々の流行領域において社会的威信をもち、流行追随者への重要な影響源であるわけだが、彼らが流行追随者の未定形の感情や潜在的傾向を媒介し表出するときに、新しい流行を首尾よく生み出せる。こうした意味合いにおいて、流行の究極的審判者は世論であり、流行はよかれあしかれ時代の気分・雰囲気、欲望を反映し映し出す鏡である。[岡田直之]
『E・ロジャース著、藤竹暁訳『技術革新の普及過程』(1966・培風館) ▽和歌森太郎編『流行世相近代史――流行と世相』(1970・雄山閣) ▽L・ラングナー著、吉井芳江訳『流行と愚行』(1970・北望社) ▽R・バルト著、佐藤信夫訳『モードの体系』(1972・みすず書房) ▽石川弘義「流行理論の系譜」(内川芳美ほか編『講座現代の社会とコミュニケーション5 情報と生活』所収・1973・東京大学出版会) ▽G・ジンメル著、円子修平・大久保健治訳「流行」(『ジンメル著作集7 文化の哲学』所収・1976・白水社) ▽L・ラングナー著、吉井芳江訳『ファッションの心理』(1976・金沢文庫) ▽鈴木裕久「流行」(池内一編『講座社会心理学3 集合現象』所収・1977・東京大学出版会) ▽小山栄三著『ファッションの社会学』(1977・時事通信社) ▽宮本悦也著『流行学――「文化」にも法則がある』(1977・ダイヤモンド社) ▽J・ボードリヤール著、今井仁司・塚原史訳『消費社会の神話と構造』(1979・紀伊國屋書店) ▽川本勝著『流行の心理学』(1981・勁草書房) ▽M・A・デカン著、杉山光信・杉山恵美子訳『流行の社会心理学』(1982・岩波書店) ▽うらべまこと著『流行うらがえ史――モンペからミニ・スカートまで』(1982・文化出版局) ▽多田道太郎編『流行の風俗学』(1987・世界思想社) ▽菅原健二著『流行の法則――現象から見た流行周期』(1987・エムジー) ▽鷲田清一著『モードの迷宮』(1989・中央公論社、1996・ちくま学芸文庫) ▽E・M・ロジャーズ著、青池慎一・宇野善康監訳『イノベーション普及学』(1990・産能大学出版部) ▽武田徹著『流行記――トレンドの表層と深層』(1990・日本経済新聞社) ▽押切伸一・川勝正幸著『流行の素』(1990・JICC出版局) ▽武田徹著『「流行」とは何か――情報消費社会の生態と風景』(1991・PHP研究所) ▽井尻千男著『流行の言説・不易の思想――ベストセラー書評社会学』(1991・PHP研究所) ▽市川孝一著『流行の社会心理史』(1993・学陽書房) ▽松井豊編『ファンとブームの社会心理』(1994・サイエンス社) ▽中島純一著『メディアと流行の心理』(1998・金子書房) ▽柏木博著『ファッションの20世紀――都市・消費・性』(1998・NHKブックス) ▽藤竹暁編『流行/ファッション』(『現代のエスプリ別冊・生活文化シリーズ2』・2000・至文堂) ▽佐藤能丸・滝澤民夫監修『日本の生活100年の記録7 文化と流行の100年』(2000・ポプラ社) ▽川本勝著『流行の社会学』(高文堂新書) ▽海野弘著『流行の神話――ロールスロイスとレインコートはいかに創られたか』(光文社文庫)』

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