精選版 日本国語大辞典 「一種物」の意味・読み・例文・類語
いっす‐もの【一種物】
ひとくさ‐もの【一種物】
- 〘 名詞 〙 各自一種ずつの肴(さかな)を出しあって催す小酒宴。また、そのさかな。いっすもの。
…明治・大正期の書生たちが盛んに行ったもので,正岡子規も俳誌《ホトトギス》の発行所などでしばしばこの催しを楽しんでいる。 飲食遊戯ないしは遊戯的共食は,いちおう衣食が充足された状況下では必ず起こるもので,日本では10世紀ころから闘飲(とういん)(大酒大食会)とともに頻繁に行われた一種物(いつすもの)がその先蹤(せんしよう)といえよう。これはその名のように,参会者が酒,さかな(肴)などを1種ずつ持ちよって趣向を楽しんだ遊びで,《続古事談》(1219)には〈殿上ノ一種物ハツネノ事ナレドモ,久シクタエタルニ,崇徳院ノスヱツカタ,頭中将公能朝臣ハ絶タルヲツギ廃タルヲ興シ〉と見え,しばらく中絶していたのを,1130年代に藤原公能が再興したといっている。…
※「一種物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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