日本紀略(読み)ニホンキリャク

デジタル大辞泉 「日本紀略」の意味・読み・例文・類語

にほんきりゃく【日本紀略】

平安後期の歴史書。34巻。編者成立年未詳。神代から後一条天皇までの歴史を漢文の編年体で記したもの。神代は日本書紀神武天皇から光孝天皇までは六国史りっこくしよりの抄録、以降は各種の日記記録による。六国史の欠を補う重要史料

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精選版 日本国語大辞典 「日本紀略」の意味・読み・例文・類語

にほんきりゃく【日本紀略】

  1. 平安後期の歴史書。三四巻。編者・成立年時未詳。神代から後一条天皇治世までを漢文・編年体で記す。神代は「日本書紀」をそのまま用い、神武天皇から光孝天皇の治世までは「六国史」からの抄録、以降は各種の日記・記録による。史料的価値の高さは定評がある。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「日本紀略」の意味・わかりやすい解説

日本紀略
にほんきりゃく

神代から後一条天皇の長元9 (1036) 年までの編年体の歴史書。平安時代後期の成立。編者,巻数など不明。内容は次の3つに大別される。 (1) 『日本書紀』をそのまま転載した神代の部。これは今日,嘉元4 (1306) 年の書写本本文とまったく同じである。 (2) 六国史を抜粋した神武天皇から光孝天皇までの部分。ここでは,桓武天皇命令によって削除される以前の型の『続日本紀』をも利用した点が特筆される。 (3) 宇多天皇以後の部。今日散逸してしまった『新国史』や政府関係の記録から取材したが,記事が簡略化され事柄の概要だけがわかる。 (3) (2) (1) の順で成立したらしいが,(1) は後人の仕業かもしれない。『日本史記略』『日本史略』など書名が一定せず,『日本紀略』は江戸時代に入ってからの呼び名である。

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改訂新版 世界大百科事典 「日本紀略」の意味・わかりやすい解説

日本紀略 (にほんきりゃく)

神代から後一条天皇の1036年(長元9)にいたる編年体の通史。34巻。著者未詳。平安末期の成立。神武天皇から光孝天皇にかけては六国史の記事を簡略化し,宇多天皇以後は,《新国史》《外記日記》その他の史料によって記事を構成したとみられる。神代の部分は《日本書紀》の本文そのままで,後人の補入かと思われる。ことに《日本後紀》の欠佚部分については,本書の記事の価値が大きい。《新訂増補国史大系》所収。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「日本紀略」の意味・わかりやすい解説

日本紀略
にほんきりゃく

神代から後一条(ごいちじょう)天皇(在位1016~36)までの編年体の史書。34巻。著者不詳。成立は平安末期。『日本紀類』『編年紀略』ともいう。前半は六国史(りっこくし)を抄録したもの。後半は、書法、体裁がまったく前半と異なり、公私の日記などを史料とし、編者の記述にかかるもの。前半の六国史を抄出した部分は、六国史と出入りがあって、国史の欠を補うところが少なくない。後半は、六国史にない部分であって、平安時代研究の重要史料。醍醐(だいご)天皇(在位897~930)から後一条天皇までの部分を『九代略記』『九代実録』ともよぶ。古く、流布本は醍醐天皇以後のものであったが、『国史大系』所収のものは完本。

[林 幹彌]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「日本紀略」の解説

日本紀略
にほんきりゃく

「日本紀類」「編年紀略」とも。神代から後一条天皇の時代の1036年(長元9)までを漢文編年体で記した歴史書。34巻。編者は不明。平安末期の成立。本書の前半部分は六国史(りっこくし)を抄録したもので独自性はないが,「日本後紀」の散逸部分を補うことができる。後半部分は,公私の記録,日記などをもとに編集しており,まとまった史料に乏しい時代を扱っているので重要である。「国史大系」所収。

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百科事典マイペディア 「日本紀略」の意味・わかりやすい解説

日本紀略【にほんきりゃく】

歴史書。34巻。《日本紀類》《編年紀略》とも。著者不詳。平安末期成立。神代から後一条天皇までの通史を編年体で記述。六国史(りっこくし)の欠を補う重要史料。

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旺文社日本史事典 三訂版 「日本紀略」の解説

日本紀略
にほんきりゃく

平安末期に成立した歴史書
『編年紀略』ともいう。34巻。成立年・著者不詳。神代は『日本書紀』そのまま,神武から光孝までの各天皇は六国史の抄略,宇多天皇以後後一条天皇までは『新国史』や『外記日記』などに基づき編集されている。六国史の欠逸を補う重要史料。

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