「不都合な真実」(読み)ふつごうなしんじつ

知恵蔵 「「不都合な真実」」の解説

「不都合な真実」

米国の前副大統領ゴア(Al Gore)が地球温暖化の危険を警告したドキュメンタリー映画の題名。2007年1月公開され、その後単行本として刊行され、邦訳された(ランダムハウス講談社、07年)。炭酸ガス、汚水、廃棄物など、様々な汚染物質が地球を覆い、その処理によってさらに汚染が広がったり、また森林の消滅による炭酸ガスの増加によって地球が温暖化し、北極南極の氷の溶解による海水面の上昇によって、太平洋の島々のなかにはすでに水没の危険にさらされているものもある。こうした情況を改善するために1997年京都議定書(Kyoto Protocol)が調印され、ゴア副大統領(当時)が米国政府代表として同議定書に調印したが、共和党ブッシュ(George W. Bush)政権はこの議定書を批准しなかった。京都議定書はロシアの批准によって05年2月に発効したが、当初の二酸化炭素の削減目標を達成するにはかなりの困難が予想される。07年12月のインドネシアのバリ島でのCOP13で「バリ・ロードマップ」が調印されたが、米国、中国などの反対で温室効果ガスの具体的な削減目標値を盛り込めなかった。08年北海道洞爺湖サミットでの成果が期待される。なお、07年、地球温暖化に警告を発した功績に対しゴア氏とIPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に関する政府間パネル)にノーベル平和賞が贈られた。

(細谷正宏 同志社大学大学院アメリカ研究科教授 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉プラス 「「不都合な真実」」の解説

不都合な真実

2006年製作のアメリカ映画原題《An Inconvenient Truth》。アル・ゴア元合衆国副大統領主演の環境ドキュメンタリー。監督:デイビス・グッゲンハイム。第79回米国アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞、歌曲賞受賞。

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