普及版 字通 「乍」の読み・字形・画数・意味
乍
5画
[字訓] つくる・たちまち
[説文解字]
[字形] 象形
小枝を撓(たわ)めて、垣などを作る形。作の初文。〔説文〕十二下に「止むるなり。一に曰く、なり。に從ひ、一に從ふ」とするが、(亡)は人の屍骨の象で、乍とは関係がない。〔釈名、釈宮室〕に「乍は(さく)なり。竹をみて相ひね、(はくさく)するなり」とあるのが、字の原義に近い。卜辞に「邑を乍(つく)る」「庸(城)を乍る」のように用い、大規模な工作事業をいう。金文には「乍((とつ))ぐ」「乍((そ))す」「乍(祚(さいはひ))す」のように用いる。副詞として、たちまち、あるいはの意に用いる。
[訓義]
1. つくる、作と同じ、おこる。
2. たちまち、にわかに、あるいは、はじめて。
3. 国語で、ながら。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕乍 マタ・タチマチニ・シバラク・タダニ・オノヅカラ・アルイハ・ナガラ 〔字鏡集〕乍 マタ・ミル・タタシ・オコル・ナガラ・タタス・ヨロシ・オノヅカラ・シバラク・アルイハ・トドマル・タチマチ
[声系]
〔説文〕に乍声として・詐・胙・・昨・作・酢など十四字を収める。金文では乍の字を作・・などに用いる。
[語系]
乍・徂()・dzaは同声。ゆえに金文に乍をそれらの字義に用いる。作tzak、柞dzakもその声が近い。また夕zyak、昔syakも声の通ずるところがあり、徂往の意に用いる。「たちまち」は迫の意によるものであろう。
[熟語]
乍雨▶・乍往▶・乍可▶・乍会▶・乍寒▶・乍見▶・乍設▶・乍然▶・乍地▶・乍能▶
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報