九七式司令部偵察機(読み)きゅうななしきしれいぶていさつき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「九七式司令部偵察機」の意味・わかりやすい解説

九七式司令部偵察機
きゅうななしきしれいぶていさつき

日本陸軍の低翼単発偵察機。武装をほとんど廃し,軽量,高速,長航続の飛行特性をもって 1936年に初飛行,世界初の戦略偵察機として独創性を発揮した。技術的にも全面沈頭鋲を採用,時速 500km級の高速性能を実現した。これにより単機をもって敵地の奥深く隠密偵察を行ない,ときには友軍爆撃機を誘導するなどの活躍をみせた。当時,敵方の戦闘機で高速の本機に追いつき捕捉できるものはなかった。本機はもうひとつ,試作段階にあった2号機が朝日新聞社の『神風』として 1937年,イギリス国王ジョージ6世の戴冠式を機にヨーロッパへ飛び,初めて東京-ロンドン間を結んだ。第二次世界大戦初めには一〇〇式司令部偵察機 (最大速度時速 540km) が登場,本機に取って代わった。中島 94エンジン (550馬力) 1基を備え,乗員2,全長 8.5m,全幅 12.0m,総重量 2200kg,最大速度時速 510km,航続距離 2400km。武装は 7.7mm機関銃1。生産機数 437機。

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