九十九王子(読み)くじゅうくおうじ

精選版 日本国語大辞典 「九十九王子」の意味・読み・例文・類語

くじゅうく‐おうじクジフワウジ【九十九王子】

  1. ( 「九十九」は数の多いことの意 ) 淀川尻の窪津(大阪市中央区)を起点とし、紀伊路に沿って本宮新宮から那智社までの間、おおよそ三一町余に一つずつ置いた王子(熊野権現の末社)。九十九所。九十九王子社。

九十九王子の補助注記

源平盛衰記‐九」には「窪津王子より八十余所におはします王子王子」といい「熊野九十九王子記」には八二か所と数え、室町時代以前の文献に見えたものを総合するとすべてで九八か所ある。これを俗に熊野九十九という。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の九十九王子の言及

【王子信仰】より

…ついには東京都北区王子のように地名となった例もある。熊野参詣の路傍には王子社がしきりにまつられ,多くは地名を冠して何々王子と呼ばれたが,その数の多さは〈九十九王子〉の名にとどめられている。春日明神にも主神四所につぐものとして五所王子(長承2年(1133)の注進状。…

【熊野街道】より

…摂津の渡辺から天王寺・住吉を経て泉州を南下し,雄ノ山峠で紀州に入り,矢田峠・藤代峠・蕪坂・鹿瀬山を越えて日高に至り,切目・岩代・南部の海岸伝いに田辺に着き,そこから山中に入って富田川の谷を北上,滝尻・逢坂・近露・道湯川と山道をたどり,発心門から熊野川河畔の本宮に通じていた。その沿道のいたるところに熊野権現の分身とされる王子社が配列され,俗に〈九十九王子〉といわれた。なかでも藤代,切目,稲葉根,滝尻,近露の諸王子は,五体王子と呼ばれる主要拠点の王子社であった。…

【熊野大社】より

… 以上の三社がいわゆる熊野三山であり,その霊威は平安末期以後全国的にあがめられた。三社がそれぞれ共通の三所権現(本宮,新宮,那智)をまつったというのも特色の一つで,しかも四所明神などの眷属神,五所王子やいわゆる九十九王子などの王子神(御子神)を含む多数の神格の集合体となったのも特色である。四所明神は一万十万,勧請十五所,飛行夜叉,米持童子であり,五所王子は若(にやく)王子,児宮,子守宮,禅師宮,聖宮であり,これらを三所権現に合わせて十二所権現と称することも多かった。…

※「九十九王子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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