福島県中部の市。2007年1月本宮町と白沢(しらさわ)村が合体し成立した。人口3万1489(2010)。
本宮市東部の旧村。旧安達郡所属。人口9187(2005)。南は郡山市,北は二本松市に接する。阿武隈高地西縁にあたり,地形は起伏にとみ山間低地に耕地が開ける。主産業は農業で,米作,養蚕,タバコ栽培,畜産などが行われるが,経営規模は小さい。JR東北本線,国道4号線などからはずれていたが,東北,磐越自動車道の完成に伴い,四つのインターチェンジに囲まれた位置を生かして住宅地の整備を行っている。郡山市をはじめ周辺市町への通勤者が多い。
本宮市西部の旧町。旧安達郡所属。人口2万2180(2005)。町名は安達太良神社の里宮が置かれたことによる。郡山市の北に接し,郡山盆地北端と北西部の丘陵地からなる。JR東北本線,国道4号線,東北自動車道が町の中央を南北に通じる。古くから安達地方南部の産業・交通の中心地として発展してきたが,第2次大戦後,常磐・郡山新産業都市の一部に指定され,以来商工業が飛躍的に発展し,食品,繊維,電機などの大企業の工場が誘致されており,人口も増加している。市街地西方にボタン園で有名な蛇ノ鼻遊楽園がある。
執筆者:佐藤 裕治
陸奥国安達郡南部に位置する奥州街道の宿場町。奥州街道から会津街道,相馬街道を分岐する交通の要所で,人馬の往来,物資の集散も多く繁栄した。本宮の地名は,南北朝期の1343年(興国4・康永2)と推定される〈結城文書写〉や《塔寺八幡宮長帳》の1503年(文亀3)の条などに見える。近世には,はじめ会津領(蒲生・上杉両氏),1643年(寛永20)二本松藩(丹羽氏)本宮組に属した。村高は1760年(宝暦10)の高辻帳では2979石余,《積達大概録》では家数398軒。本宮宿は北町と南町からなる。北町は中世以来の宿駅,南町は旧三春領主田村氏の遺臣小沼伊賀が開発し,1608年(慶長13)舟渡町,中町,柳町から誕生した町といわれる。問屋は南北両町に1軒ずつあり,半月交代で務め,本陣は1727年(享保12)には2軒があり,旅籠屋(はたごや)は50軒余,飯盛女も置かれた。毎月3・8の日に南北両町で六斎市が開かれてにぎわったといわれる。
執筆者:誉田 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
福島県中通(なかどお)り地方中北部にある市。2007年(平成19)安達(あだち)郡の本宮町と白沢村(しらさわむら)が合併して市制施行。東部は阿武隈(あぶくま)高地の岩角(いわづの)山、高松山などがあり、西に向かって丘陵地や平坦地が広がる。また、西部にも安達太良(あだたら)山に連なる大名倉(おおなぐら)山がある。市域の中央を阿武隈川が北流する。JR東北本線、国道4号が通じ、東北自動車道の本宮インターチェンジが設置されている。稲作のほか、近郊農業が盛んで、近年では特産品づくりとして烏骨鶏(うこっけい)の飼育もみられる。かつては養蚕が盛んであったが、衰退した。工業団地が造成され、ビール工場などが進出している。
中心地区は本宮で、平安後期に安達太良山から甑(こしき)明神ほか、大名倉山から宇奈明神をこの地に移して安達郡の総鎮守とし、地名を本宮と改めたという。江戸時代は二本松(にほんまつ)藩領で、代官所が置かれた。また本宮は、奥州街道と会津街道、相馬街道の分岐点にあたり、宿場町としても栄えた。一方、白沢地区は江戸時代から養蚕が盛んであったが衰退し、現在は長芋が特産。
ボタン、サクラの名所として知られる蛇の鼻(じゃのはな)遊楽園の園内にある「蛇の鼻御殿」は国の登録有形文化財。全山花崗(かこう)岩が露出する岩角山は県指定名勝・天然記念物。面積88.02平方キロメートル、人口3万0236(2020)。
[編集部]
和歌山県南東部、東牟婁(ひがしむろ)郡にあった旧町名(本宮町(ちょう))。現在は田辺(たなべ)市の東部を占める地域。旧本宮町は、1956年(昭和31)本宮、請川(うけがわ)、四(よ)、三里(みさと)の4村と敷屋(しきや)村の一部が合併して町制施行。2005年(平成17)中辺路(なかへち)町、龍神(りゅうじん)、大塔(おおとう)2村とともに田辺市に合併した。熊野川の本流・支流域の山間村。熊野三山の一つ熊野本宮大社が鎮座する。社殿は熊野川の中州大斎原(おおゆのはら)にあったが、1889年(明治22)の洪水で流失、右岸丘陵の現在地に移築・再建された。中辺路(国道311号が並走)や小辺路(国道168号が並走)などの参詣(さんけい)路が集まり、宿坊跡など史跡が多い。熊野本宮大社などは「紀伊山地の霊場と参詣(さんけい)道」として世界文化遺産に登録されている。湯の峰、川湯などの本宮温泉郷があり、瀞八丁(どろはっちょう)も近く、吉野熊野国立公園に含まれる。近年茶の栽培や畜産が盛ん。湯峯(ゆのみね)のユノミネシダ自生地は国指定天然記念物。
[小池洋一]
『『本宮町史』全4巻(1997~2004・本宮町)』
福島県中北部、安達郡(あだちぐん)にあった旧町名(本宮町(まち))。現在は本宮市の西半分を占める地域。旧本宮町は、1889年(明治22)町制施行。1954年(昭和29)荒井、青田、仁井田(にいた)の3村と合併。2007年(平成19)白沢(しらさわ)村と合併して市制施行、本宮市となった。中通り中央部にあり、東部を阿武隈(あぶくま)川が北流する。JR東北本線、国道4号、東北自動車道が通じ、本宮インターチェンジがある。中心地区の本宮は古くは本目と称したが、久安(きゅうあん)年間(1145~1151)安達太良(あだたら)山から甑(こしき)明神ほか、大名倉(おおなぐら)山から宇奈明神を本目の菅森(すがもり)に移して合祀し、安達太良明神と号して安達郡の総鎮守とした。一郡の本宮なので地名を本宮と改めたといわれる。江戸時代は二本松(にほんまつ)藩領で、本宮宿は奥州道中、会津街道の分岐点にあり、中通りと会津を結ぶ要地であった。近郊農業が盛んで、烏骨鶏(うこっけい)の生産に努めている。そのほか、製糸業があり、また隣接する郡山(こおりやま)市の影響で東北本線五百川(ごひゃくがわ)駅付近には工業団地ができ、ビール工場などが立地する。蛇の鼻(じゃのはな)遊楽園はボタン、サクラの名所で、園内にある「蛇の鼻御殿」は国の登録有形文化財。
[安田初雄]
『曽我伝吉著『本宮地方史』(1961・本宮町公民館)』▽『『本宮町史』全12巻(1992~2003・本宮町)』
本社ともいう。主祭神の鎮座する正宮(しょうぐう)の称。別宮、別社、奥宮(おくみや)、奥社、山宮あるいは摂社、末社、境内社などに対して、その神社のもとになる社。
[編集部]
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…和歌山県熊野地方にある本宮,新宮,那智の3ヵ所の神社の総称。本宮(熊野坐(くまのにます)神社)は現在熊野本宮大社と称し,東牟婁(ひがしむろ)郡本宮町に,新宮(熊野早玉神社)は現在熊野速玉大社と称し,新宮市に,那智は現在熊野那智大社と称し,東牟婁郡那智勝浦町に鎮座する。…
※「本宮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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