二人の旅人(読み)ふたりのたびびと

改訂新版 世界大百科事典 「二人の旅人」の意味・わかりやすい解説

二人の旅人 (ふたりのたびびと)

グリム童話》ではこの題名がつけられているが,またの名を〈真実と偽り〉という話型。二人の兄弟(または仲間)が真実と偽り(または二つの宗教)の価値について争い,道で出会った人間(動物)に仲裁を依頼する。真実の価値を主張したほうが負け,両眼をえぐり取られ,道に放置される。あるとき,動物(悪魔)たちの会話から,自分の視力を治す方法を知り,王女の視力(病気)も治して,大臣になる。のちに悪い兄弟(仲間)に再会する。相手は同じような幸せを望み,動物(悪魔)の会話を盗み聞きするが,失敗して引き裂かれる。この昔話最古の記録は中国のトリピタカにあり,インドパンチャタントラ》にもみられる。13,14世紀にはチベット,インド,ペルシアヘブライの記録がある。それらのなかから《千夜一夜物語》に入り,南ヨーロッパにもたらされたと考えられる。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android