改訂新版 世界大百科事典 「二次富化帯」の意味・わかりやすい解説
二次富化帯 (にじふかたい)
secondary(supergene)enriched zone
地表に露出した鉱石中の金属成分が雨水により溶脱されて下降し,地下水面下で再沈殿してもとの鉱石より高品位になった部分。乾燥地域の銅や銀の硫化物鉱床によくみられる。この作用で大規模な高品位鉱石を生じるには,地下水の動きの少ない安定した地下水面があることと,浸食速度が遅いことが必要である。したがって二次富化帯は乾燥ないし半乾燥地域でよく発達する。この作用は低品位鉱床において特に重要で,アメリカ南西部,南アメリカなどの斑岩銅鉱床ではかつては二次富化帯のみが採掘の対象とされた。世界最大の銅鉱山であるチリのチュキカマタChuquicamata鉱山では,厚さ400mの二次富化帯が南北3.5km,幅500mにわたって発達し,現在でも二次富化帯の高品位鉱石を採掘している。
執筆者:佐藤 壮郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報