日本大百科全書(ニッポニカ) 「五部神」の意味・わかりやすい解説
五部神
いつとものおのかみ
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が高天原(たかまがはら)から地上に降臨する際、随従して降(くだ)った5神。中臣上祖天児屋命(なかとみのとおつおやあめのこやねのみこと)、忌部上祖太玉命(いむべのとおつおやふとだまのみこと)、猨女上祖天鈿女命(さるめのとおつおやあめのうずめのみこと)、鏡作上祖石凝姥命(かがみつくりのとおつおやいしこりどめのみこと)、玉作上祖玉屋命(たますりのとおつおやたまのやのみこと)である(『日本書紀』)。
いずれも朝廷の神事にかかわる氏族で、天岩戸(あめのいわと)神話の条にもそろって登場する。初めは鎮魂祭(たましずめのまつり)をつかさどった天鈿女命のみであったが、のちに政治的意図などから他の4神が加わったものと思われる。『古事記』には「五伴緒(いつとものお)」とある。
[守屋俊彦]