交・混・雑(読み)まぜる

精選版 日本国語大辞典 「交・混・雑」の意味・読み・例文・類語

ま・ぜる【交・混・雑】

[1] 〘他ザ下一〙 ま・ず 〘他ザ下二〙
異種・異質のものを加え入れる。入れていっしょにする。まぜ合わせる。また、かきまぜる。
書紀(720)神武即位前(熱田本訓)「我が猛き卒(いくさ)を選びて、虜(あた)と雑(マセ)(す)う」
落窪(10C後)三「色々の色紙に、黄金白銀まぜてかかせ給ひて」
② 仲間に入れる。
仮名草子浮世物語(1665頃)二「武道を嗜む侍も武道ばかりでは、傍輩の不嗜なる者共がまぜもせず」
③ ことばをかわす。口を出す。
源氏(1001‐14頃)帚木「君のうちねぶりて、言葉まぜ給はぬを」
④ 相手の話に口をはさんでちゃかす。まぜかえす。
浄瑠璃車還合戦桜(1733)三「夫に懸って商人衆は商ひを得せず、百姓方は畠を捨ててまぜますは、さればいの其詮儀で難議しました」
[2] 〘自ラ四〙 =まじる(交)
※雑俳・玉の光(1844‐45)二「ちらほらと尤らしい毛がまぜり」

まじ・る【交・混・雑】

〘自ラ五(四)〙
① 他の物の中にはいり合う。また、他の人の中にはいっていっしょになる。まざる。
万葉(8C後)五・八四九「残りたる雪に末自例(マジレ)る梅の花早くな散りそ雪は消ぬとも」
※源氏(1001‐14頃)若菜上「宮よりも、明石の君の、恥づかしげにてまじらむを」
② 交際する。つきあう。まじらう。まじろう。
古今(905‐914)哀傷・八四七・詞書諒闇になりにければ、さらに世にもまじらずして、ひえの山にのぼりて、かしらおろしてけり」
③ なかに分け入る。
※竹取(9C末‐10C初)「たけとりの翁といふもの有けり。野山にまじりて竹を取りつつ、万(よろづ)の事に使ひけり」
④ (否定表現を伴うことが多い) 雑念余念などが入りこむ。
※源氏(1001‐14頃)乙女「ただこの君ひと所の御事を、まじることなういそい給ふ」

まじり【交・混・雑】

〘名〙 (動詞「まじる(交)」の連用形名詞化)
① まじっていること。また、そのもの。
※宇津保(970‐999頃)沖つ白浪「殿の御ぞうの殿ばらまじりもなくあり」
② (水分の中に米粒がまじっているところから) ひじょうに水分が多く重湯(おもゆ)に近い粥(かゆ)。おまじり。
③ 将棋で、手合割りの決め方の一つ。異なった手合割りを一組として指すこと。

まぜ【交・混・雑】

[1] 〘名〙 (動詞「まぜる(交)」の連用形の名詞化)
① まぜること。また、まぜ入れる物。
② 馬の飼料。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 将棋で、交(まじ)りの俗称。
[2] 〘接尾〙 数量を表わす名詞に付いて、それだけの間を置くことを表わす。多く助詞「に」を伴って用いる。…おき。「一枚まぜ」「日まぜ」など。
※蜻蛉(974頃)中「日まぜなどにうちかよひたれば」

まざ・る【交・混・雑】

〘自ラ五(四)〙 他のものがはいっていっしょになる。いくつかのものが、いっしょになる。いりまじる。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)六「サア北八さそふか〈略〉小便のまざらぬ酒は、また格別だ」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「言葉には漢語が雑ざるから」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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