浮世物語(読み)うきよものがたり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

浮世物語
うきよものがたり

仮名草子浅井了意作。6巻。寛文4 (1664) 年頃刊。浮世房という僧を主人公とした遍歴小説で,滑稽や痛烈な政道批判を含む。中世的憂世から近世的浮世への意義転換を明確に示している文献として,また浮世草子への橋渡し的意義をもつ作品として重要。

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デジタル大辞泉の解説

うきよものがたり【浮世物語】

江戸前期の仮名草子。5巻。浅井了意作。寛文5年(1665)ごろ刊。主人公浮世房の一代記を通して、当時の享楽的な社会風俗を描いている。

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世界大百科事典 第2版の解説

うきよものがたり【浮世物語】

仮名草子。浅井了意作。5巻5冊。1665‐66年(寛文5‐6)ころ京都で刊行され,版を重ねる。別版に70年刊の江戸松会版があり,1737年(元文2)大坂で再版され,さらに57年(宝暦7)には同じく大坂で《続可笑記》と改題再版される。飄太郎という道楽息子が,博奕(ばくち)・傾城(けいせい)狂いをして無一文になり,徒(かち)若党・浪人となるも,ついには出家し浮世房と名のる。京・大坂を見物し,数々の失敗を繰り返したのち,ある大名に咄(はなし)の衆として仕え,世を諷誡したり,滑稽に託していさめたりして,最後には仙人になるため天に昇ろうとして軒から落ち,蟬の抜け殻のようにどこに行ったのかわからなくなってしまった,という筋の物語である。

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大辞林 第三版の解説

うきよものがたり【浮世物語】

仮名草子。五巻。浅井了意作。1659~66年の間に成立。浮世房と名乗る男の一代記の形式に、見聞・政道批判・笑話などを織り込んだもの。「好色一代男」に影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

浮世物語
うきよものがたり

仮名草子。5巻5冊。浅井了意(りょうい)作。1665年(寛文5)刊か。主人公浮世房の一代記という構想のもとに、その浮世遍歴を通して、現実社会の諸相を啓蒙(けいもう)、批判しようとした作品。主人公瓢太郎(ひょうたろう)は初め武家奉公を志し、主君の気に入られるが、傲慢(ごうまん)さのために失敗して逃げ出し、出家して浮世房となる。諸国遍歴ののち、さる大名に仕えて御咄衆(おはなししゅう)となり、世相の諸事を啓蒙、教訓したのち、蝉(せみ)がもぬけるようにして仙人となり行方知れずになる、という筋。冒頭に刹那(せつな)的享楽主義を説き、剽軽(ひょうきん)な主人公浮世房を活躍させて笑いのなかで啓蒙、教訓しようとする作者の意欲は評価できるが、『可笑記(かしょうき)』(如儡子(にょらいし)作)の影響下にある現実批判や儒教思想を啓蒙する内容は、やや鋭さに欠ける点がある。[谷脇理史]
『前田金五郎校注『日本古典文学大系90 仮名草子集』(1965・岩波書店) ▽谷脇理史他校注・訳『日本古典文学全集37 仮名草子集・浮世草子集』(1971・小学館)』

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世界大百科事典内の浮世物語の言及

【浅井了意】より

…名所記・道中記的な《東海道名所記》《江戸名所記》《京雀》,怪談集《御伽婢子(おとぎぼうこ)》《狗張子(いぬはりこ)》,教訓書《堪忍記》《大倭(やまと)二十四孝》,随筆的な《可笑記評判》,実録書《かなめ石》《武蔵鐙(あぶみ)》《鬼利至端(キリシタン)破却論伝》,咄本《狂哥咄》などが知られているが,〈博識強記〉といわれるほどの豊かな学識,平淡な文体,寛容の精神,大衆に対する共感と同情,現実社会への慷慨などにささえられ,いずれも読者の好評を博した。なかでも滑稽遍歴談《浮世物語》には,西鶴の《好色一代男》の先駆的要素と,痛烈な現世批判をみせる警世的要素との結合がみられ,作品としては未熟ではあるが,高く評価されている。また《御伽婢子》《狗張子》は,近世怪異小説の一時期を画したもので,後代への影響も大きい。…

※「浮世物語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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