日本大百科全書(ニッポニカ) 「交感神経興奮薬」の意味・わかりやすい解説
交感神経興奮薬
こうかんしんけいこうふんやく
アドレナリン作動薬ともいい、交感神経の節後線維すなわちアドレナリン作動神経を刺激したのと同じ効果を現す薬物をさす。アドレナリン受容体にはα(アルファ)受容体とβ(ベータ)受容体の2種があり、α受容体に対する作用は興奮的で、β受容体に対する作用は抑制的である。アドレナリン類似の化合物がこの例で、アドレナリン、ノルアドレナリン、イソプロテレノールが代表的薬物である。α作用の強いのはノルアドレナリンで、イソプロテレノールがもっとも弱い。β作用はその逆でイソプロテレノールがもっとも強い。α作用は血管を収縮し、β作用は心臓興奮、気管支拡張がみられる。アドレナリンは止血、血圧上昇、局所の充血を除く目的で注射または外用で用いられ、ノルアドレナリンは救急薬として血圧上昇の目的で注射される。イソプロテレノールは気管支喘息(ぜんそく)の治療に用いられる。このほかフェニレフリン、ドパミン、エフェドリン、メチルエフェドリン、アンフェタミンや、気管支拡張剤としてのオルシプレナリン、テルブタリン、サルブタモール、トリメトキノール、カルテオロールなどがある。
[幸保文治]