α-[1-(methylamino)ethyl]benzenemethanol.C10H15NO(165.23).マオウ科の麻黄Ephedra sinica,E.equisetina,E.distachyaなどに含まれるアルカロイドの一つ.天然には,(1R,2S)-(-)-エフェドリンが見いだされ,ともに含まれる(1R,2R)-(+)-プソイドエフェドリンとはジアステレオマーの関係にある.1-フェニル-1-プロパノン,ベンズアルデヒドなどを原料とする種々の方法で合成もされている.無色の結晶.融点38.1 ℃(無水和物),沸点225 ℃.-6.3°(エタノール).水,エタノール,クロロホルムに可溶,石油エーテルに難溶.交感神経末梢を刺激して気管支けいれんを緩解し,瞳孔を拡大する作用がある.この塩酸塩およびN-ジメチル体(メチルエフェドリン)の塩酸塩は,いずれも咳止め薬として用いられている.アドレナリンより薬効は弱いが,持続性がある.[CAS 299-42-3]
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… 以上の薬物以外に,中枢神経興奮により気分の上昇をはかったり,あるいは抗ヒスタミン薬による眠気を防止する目的でカフェイン等が配合されることが多い。気管支拡張により呼吸を楽にする目的で,気管支拡張薬のエフェドリンやメチルエフェドリンもよく配合される。これらは中枢興奮作用をも有する。…
…(2)交感神経終末からノルアドレナリンを放出させて作用を現す薬物(間接型作用薬)で,チラミン,アンフェタミンなどがある。(3)上に述べた(1)(2)の両作用を併せもつ薬物(中間型作用薬)で,エフェドリンはこれに属する。 直接受容体に結合するタイプの交感神経興奮薬にも,α受容体とβ受容体のいずれに親和性が高いかによって,ひきおこす反応に差が生じる。…
…一方去痰薬(きよたんやく)は,痰の排出を促進し,気道粘膜に対する刺激をやわらげて咳の発生を抑える。またアドレナリン,エフェドリンなどの気管支拡張薬は,気管支筋を弛緩させて内腔を広げ,痰の排出を容易にしたり咳の気流を減速したりして咳を弱める。しかし一般には,これらは鎮咳薬とは別に分類される。…
…
[薬用]
シナマオウのほか,中国産のE.distachya L.やE.equisetina Bunge,インド産のE.gerardiana Wall.などの茎を乾燥したものを,生薬で麻黄という。アルカロイド,l‐エフェドリンl‐ephedrineを含み,これは気管支の平滑筋の痙攣(けいれん)を弛緩させるので喘息(ぜんそく)に用いられるが,長期間連用すれば薬剤耐性を生じ,根治はできない。漢方では他の生薬と配合して感冒の悪寒,発熱,頭痛,身体疼痛(とうつう)などの症状に用いて発汗作用があり,小児の麻疹にも応用される。…
※「エフェドリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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