充血(読み)ジュウケツ(英語表記)hyperemia

翻訳|hyperemia

デジタル大辞泉 「充血」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐けつ【充血】

[名](スル)体の一部動脈末梢の血管が拡脹し、その部位通常より多く血液の集まっている状態。赤く見え、温度も高い。→鬱血うっけつ
[類語]血走る鬱血

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精選版 日本国語大辞典 「充血」の意味・読み・例文・類語

じゅう‐けつ【充血】

  1. 〘 名詞 〙 体のある部分の動脈内の血の流れが、生理的異常を起こして多量に流れること。一般に皮膚が潮紅し、鮮紅色になり、血管が浮き出て見えることがあり、その部分の体温が高くなる。静脈の場合は鬱血(うっけつ)という。
    1. [初出の実例]「知覚機亢進し、下肢充血の模様あり」(出典:七新薬(1862)一)

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改訂新版 世界大百科事典 「充血」の意味・わかりやすい解説

充血 (じゅうけつ)
hyperemia

動脈血局所に異常に増加した状態で,動脈とくに細小動脈が拡張し,大量の動脈血が流入しておこる。似たようなものに鬱血(うつけつ)があるが,これは静脈血が異常に増加した状態をいい,充血とは異なる。動脈は血管運動神経の作用により拡張・収縮する。そこで血管拡張神経が緊張したり,血管収縮神経の麻痺などによって充血がおこる。また,炎症による炎症性充血機能亢進による機能性充血,対をなしている臓器の一側で血液の灌流が停止するか減少した場合に他側におこる代償性充血,ある局所で血行の停止または虚血がおこるとその付近の組織におこる傍側性充血(側副性充血ともいう)などがある。組織は鮮紅色を呈し,温度は高くなり,拍動を自覚的にも他覚的にも感ずるようになる。また,血液の量が増加するとともに,血液の液体成分が組織内に漏出するため軽くはれる。充血による組織の障害は,虚血に比して軽く,一般に機能亢進がみられる。たとえば,充血による顔面発汗唾液の分泌亢進などがその例である。しかし脳では充血により頭痛などの機能障害がおこる。充血は一過性のことが多く,原因がなくなれば消失する。しかし長く続くと,組織や臓器に過栄養による肥大過形成がみられることもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「充血」の意味・わかりやすい解説

充血
じゅうけつ

局所におこる血液の循環障害の一つ。血液、リンパ液、および組織液の総称である体液の循環に障害がおこった場合、一般に循環障害とよぶが、血液の循環障害がもっとも重要である。血液循環障害には、大循環、小循環、門脈などにおこる比較的全身性の場合と、局所におこる血液の循環障害とがあり、後者は病理学的に貧血、充血、うっ血、出血、血栓症、塞栓(そくせん)症、梗塞(こうそく)に分類されている。充血とは、臓器・組織中に流入する血液の量が増加している状態をいう。生理的な状態でも、消化時に腸粘膜が充血することはしばしば認められるが、これは一般に機能亢進(こうしん)のために生ずるものである。一方、局所に流入する血液を入れる血管が太くなる場合には、当然、その局所の血液の量は増加し、充血をおこすことになるが、これは、その血管を支配している神経の障害、すなわち血管収縮神経の麻痺(まひ)、あるいは血管拡張神経の緊張、血管壁自体に存する筋肉の麻痺などによるものである。また、臓器・組織の一部に貧血がおこると、その付近または他の場所に充血がみられることがあり、これは代償性充血とよばれる。

[渡辺 裕]

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百科事典マイペディア 「充血」の意味・わかりやすい解説

充血【じゅうけつ】

動脈血が組織内の血管腔に増加する現象。局所の動脈性小血管や毛細血管の拡張によって起こる。炎症時,臓器組織の機能高進時や,肺・腎のように対をなす臓器の一方の血流が止まるか減ったときの他方の臓器などに見られる。充血局所は赤くはれ,体表部では温度が上がる。また自覚的・他覚的に拍動を感じることもある。充血が長く続くと,水腫や血管壁が破れて出血をきたすこともある。→鬱血(うっけつ)
→関連項目雪眼炎

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「充血」の意味・わかりやすい解説

充血
じゅうけつ
hyperemia

動脈性の血液が組織,臓器などに増加した状態をいう。炎症性充血,仕事による充血などと表現する。局所は鮮赤色となり,腫脹し,温度が上がる。静脈性の充血もあるが,この場合は通常,うっ血と呼ばれる。

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