改訂新版 世界大百科事典 「イソプロテレノール」の意味・わかりやすい解説
イソプロテレノール
isoproterenol
交感神経興奮薬で,β-アドレナリン作動性受容体を興奮させる作用が強い。循環系に対しては,心臓の拍動数と収縮力を増大させ,末梢血管を拡張させる。平滑筋に対しては弛緩作用をもつが,気管支平滑筋でその作用はとくに顕著である。そのほか腸管,子宮などの運動も抑制する。血糖上昇作用はアドレナリンより弱いが,血中遊離脂肪酸上昇作用は同程度である。肝臓その他で主としてカテコール-o-メチルトランスフェラーゼによって代謝される。l体はα体に比べて90倍くらい作用が強力であるといわれる。臨床的には,その気管支拡張作用を気管支喘息(ぜんそく)の治療に利用する。塩酸イソプロテレノールの水溶液を噴霧し,エーロゾルとして吸入するのが最も有効とされる。ほかに,舌下錠,座剤,注射剤などとしても用いる。副作用のおもなものは,嘔吐,頭痛,動悸,頻脈などである。
執筆者:粕谷 豊
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報