精選版 日本国語大辞典 「仰しゃる」の意味・読み・例文・類語
おしゃ・る【仰】
- ( 「おおせある」が変化して一語化したもの。一説に「おおせらる」からとする )
- [ 1 ] 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 「いう(言)」の尊敬語。言われる。仰せられる。おっしゃる。
- [初出の実例]「羲之がかいたとをしゃれ、百銭つつせうと云たれは」(出典:寛永刊本蒙求抄(1529頃)四)
- [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行下二段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
- [初出の実例]「はて、ひょんな事を、おしゃれまする」(出典:狂言記・抜殻(1660))
仰しゃるの語誌
( 1 )室町末期から江戸初期頃まで例を見るが、中期の近松世話物になると、変化形と目される「おっしゃる」(四段中心)が優勢となって衰退する。
( 2 )敬意に関しては「日葡辞書」では普通の人や対等の人に用いるとあり、虎明本狂言では、「仰せらるる」(敬意高い)、「おしゃる」(敬意低い)のように使い分けられている。「狂言記」には「おっしゃる」が現われており、「おっしゃる」(敬意高い)、「おしゃる」(敬意やや低い)と、話し手が使い分けている。