狂言記(読み)きょうげんき

精選版 日本国語大辞典 「狂言記」の意味・読み・例文・類語

きょうげんき キャウゲン‥【狂言記】

江戸時代刊行された能狂言台本集。万治三年(一六六〇)刊の「狂言記」、元祿一三年(一七〇〇)刊の「続狂言記」「狂言記外五十番」、享保一五年(一七三〇)刊の「狂言記拾遺」(いずれも初版)を総称したもの。絵入りで各集五冊五〇番から成る。種々の異版が刊行され、読本として流布。群小諸派の台本を集めたものらしく、内容も一様でない。

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デジタル大辞泉 「狂言記」の意味・読み・例文・類語

きょうげんき〔キヤウゲンキ〕【狂言記】

江戸時代に読み物として流布した、狂言詞章版本の総称。万治3年(1660)から享保15年(1730)にかけて刊行された「ゑ入狂言記」「新板絵入狂言記外五十番」「絵入続狂言記」「絵入狂言記拾遺」の4種。いずれも50番を収め、詞章は群小諸派によるものといわれる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「狂言記」の意味・わかりやすい解説

狂言記
きょうげんき

狂言の詞章を刊行紹介した江戸時代の書物。『狂言記』『狂言記外』『続(ぞく)狂言記』『狂言記拾遺(しゅうい)』の4種があり、それぞれ50番ずつ計200番を収める。最古の版は1660年(万治3)刊の『狂言記』で、曲ごとに舞台図を付す。貞享(じょうきょう)~享保(きょうほう)(1684~1736)にかけて残りの3種が次々に刊行され、再摺(さいしょう)本、改版本も多く出た。幕末には『狂言記外』を除く3種をセットで刊行、明治以降は活字で翻刻された。収録された詞章の出自は明らかでないが、歌舞伎(かぶき)成立に関与した群小諸派の狂言師のものとする説が有力。4種を一括して論じることは危険だが、実際に使用された台本をもとにしていることは確実である。

[林 和利]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「狂言記」の意味・わかりやすい解説

狂言記
きょうげんき

江戸時代に出版された狂言の台本集。万治3 (1660) 年版,寛文5 (65) 年版もあるが,一般に流布したのは元禄 12 (99) 年の『狂言記』,同 13年の『続狂言記』『狂言記外五十番』,享保 15 (1730) 年の『狂言記拾遺』で,おのおの横本5冊,50番ずつを収め,合計4部 20冊,200番を絵入りで紹介している。幸田露伴編『狂言全集』 (1903) 以来,『国民文庫』や『有朋堂文庫』などに収録,普及されているが,いずれの流儀の台本とも違った詞章であり,その由来はなお明らかでない。

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